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[なぜならば] 障害者も‘ルツボ’を観覧したい/キム・チョルファン

登録:2011-10-04 08:45

原文入力:2011/10/03 20:53(1660字)


聴覚障害者数人が映画<ルツボ>を観に行った。自分たちと同じ障害者たちの人権蹂躪問題が社会イシューに浮上しているという噂を聞いて映画を観るためだった。だが、彼らはキップ売場で引き返さなければならなかった。映画にハングル字幕がなかったためだ。現在、ハングル字幕を提供していたり、それを準備中の映画館があるが<ルツボ>が上映されている全国509スクリーンの中で20ヶ所程度に過ぎない。(9月末現在) 字幕をつけた上映館の大部分が都市内だということもあり、上映回数も一日に一回程度と聴覚障害者が<ルツボ>を自由に見られない状況だ。

それでも<ルツボ>の場合はハングル字幕をつけようとする努力が伺えよりマシな方だ。昨年、韓国で168編の韓国映画が上映されたが、一般劇場でハングル字幕を提供した映画は15編程度だ。すなわち、昨年上映された韓国映画の90%以上を聴覚障害者はハングル字幕がないために観覧できなかった。このような理由で一般韓国映画はもちろん<グローブ>等、障害者を素材にした映画が封切りされても観覧できない事態が広がっているということだ。

聴覚障害者たちと一緒に韓国映画を見られない人々もまたいる。視覚障害者たちだ。視覚障害者の場合は映画の場面を読む技法の画面解説をすれば映画を鑑賞する上で問題がない。だが、一般劇場で画面解説をする映画も少ないことは同様だ。


障害者がこのように映画を観るのが難しい理由は政策が脆弱なためだ。障害者差別を禁止する法律が作られても法律が適用される時期は2013年からだ。さらに法律が適用されても300席以上のスクリーンにのみ該当する。このような問題点を解決するために障害界が数年にわたって関連法の改正運動を繰り広げた。このような運動に力づけられ昨年、障害者差別禁止法が改正されたが関連業界の反発を意識したためか障害者の映画観覧サービス支援は義務事項ではなく任意事項に終わってしまった。その結果、劇場で積極的に立ち上がり障害者が映画を観覧できるサービスをせずにいる。 映画<ルツボ>の場合は製作業者が字幕上映に積極的であったが、上映スクリーンの4%に過ぎない20ヶ所余りだけが字幕サービスの実施を考慮するほど上映館の消極性が目につく。


それでもこのような責任を上映館にだけ向けることはできない。韓国映画で字幕が上がってくるのを敬遠する非障害者観客もいるためだ。(画面解説は別途の受信機を使うために問題がない。) 外国の場合はこのような問題を解決するために、メガネに字幕ディスプレイ装置を付け聴覚障害者だけが字幕を見られるようにする閉鎖型システムを使っている。国内でもこういう議論はかなり以前からあったし、このような技術を保有している業者もいる。だが、この業者が開発に対する支援処を見つけられず量産出来ずにいるという残念な便りも聞こえてくる。


映画<ルツボ>を契機に公論化された障害者の人権蹂躪問題は必ず正しく解決されなければならない。そして今は一息ついて明らかになっていない障害者の人権問題も落ち着いて見回さなければならない。その中の一つが障害者の映画観覧権だ。招請行事や映画祭のようなイベント次元ではなく、非障害者たちと同じ場所で映画を見ることができる権利が障害者に与えられるよう関心を持たなければならない。そのためには閉鎖字幕システムの開発などに政府次元の支援がはやく実現しなければならない。そして上映される映画の一定部分は障害者観覧サービスを行うよう法律と制度を改善しなければならない。映画<ルツボ>に見せた国民の熱い関心を障害者の映画観覧環境改善にも見せて欲しいという願いだ。


キム・チョルファン障害者情報文化ヌリ活動家


原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/499053.html 訳J.S