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[ハンギョレ21 2011.08.15第873号] これほどまでに秘密で奇襲的な攻撃

登録:2011-08-23 14:49

[イシュー追跡2] 公益の包装紙で覆い変則開業する大型マート…
京畿道、広州市 ターミナル内イーマートは旅客施設の3倍規模
開店2年目 論難中(6510字)

□コ・ナム

←イーマート京畿、広州店の建物は‘法律的’に公共施設である公用旅客ターミナルだ。ターミナルの看板よりイーマートの看板が大きいこの写真は正確にこの建物の現実を象徴している。イーマートは「ターミナル許認可とイーマートとは関係ない」と明らかにした。 ハンギョレ21 キム・ギョンホ


行った日は市が立つ日だった。黄色い‘京安市場’の看板はさわやかに見えた。京畿道、広州市、京安在来市場内に歩いて入り、まるで建物の外で長く列んでロックバンド公演会場に入ったように耳がぼうっとなった。午後1時30分の市場は、売る人と買う人とで騒がしかった。8月3日が市の日であることを知らない外部の人なら在来市場を訪れる人が多くて驚くだろう。京安市場から500mも離れていないところにイーマート京畿広州店があるということを知れば、更に驚くことだろう。‘イーマートそばの在来市場がこれほど繁盛しているならばあえて企業型スーパーマーケット(SSM)法が必要だったのだろうか’と考える可能性もある。国会は昨年末、在来市場から半径500m以内に3千㎡以上の大型マートや大型マートに所属した企業型スーパーマーケットが開店することを制限する流通・共生法を通過させた。SSM法と呼ばれる。これに伴い、大部分の地方議会がSSM条例を作った。去る6月には制限区域を1kmに増やした。

住民の土地を強制収容して作られた大型マート


 「繁盛しているじゃないですかって? 今日は市の日です。ところで今、2車線で車が通っているでしょう? 京安市場が市の日には、このように車が通れる所ではありません。」 ミン・ギョンス(57・仮名)氏は在来市場入口でイーマートを眺めながら話した。「イーマートができた後、ただの一度も行っていません。腹が立って。」彼は広州(クァンジュ)で永く商いをしてきた。故郷で老後を過ごす夢を見ながら少しずつ土地を集めた。救済金融時期に広州市、京安洞20-17番地の土地80坪も購入した。


ミン・ギョンス氏の家に2007年から内容証明が舞い込んできた。広州ターミナル株式会社名義の文書には、ミン氏の土地が公用旅客ターミナル事業敷地になったので収容価格を議論しようという内容が書かれていた。自分の土地が公用旅客ターミナルの敷地になったという事実は初耳だった。その後も何回か内容証明がきたが‘誰かの冗談だろう’と考えた。彼は法を体感できなかった。ミン・ギョンス氏をはじめ9人の土地が2007年2月から強制収容され始めた。


 「価格を相談しようという内容証明が来はしたが、(買うという人と)会うことはできませんでした。そうするうちに裁判所が供託金を取りに来いといったのです。」同じ理由で土地を強制収容されたコ・チャンス(57・仮名)氏が横で話した。パク・スンフン(55・仮名)氏の場合はもう少し劇的だった。坪当たり830万ウォンで土地を売ると契約した。1ヶ月くらい後に土地を買った人間が解約を要求した。「公用ターミナル敷地に選ばれたという話を聞いた」という弁解をした。広州市庁がパク氏の土地周辺に公用旅客ターミナルを作るという計画を盛り込んだ告示を2006年9月に発表したという事実をパク氏はその時に初めて知った。地方自治体の告示・公告はインターネット ホームページと市庁建物内の掲示板で行うことになっている。パク氏は地方自治体のホームページを毎日見る人ではなかった。広州市から電話の一本も受けたことはない。パク氏は坪当たり490万ウォンで土地を強制収容された。‘公益事業のための土地等の取得および補償に関する法律’(公益事業法)が強制収用の根拠だった。25万人 広州市民の公益のためにミン・ギョンス、パク・スンフン、コ・チャンス氏は各々2億~3億ウォンの損害を甘受した。


“出任せに国が必要な施設ならば、私も譲歩するだろう。ところがイーマートが入ってきたじゃないですか?”ミン・ギョンス氏の声は震えていた。法律は公用ターミナルのような公共施設での販売施設比率を地方自治体都市計画委員会が決めるよう規定している。広州市が提出した公用ターミナル事業実施計画認可案件に対し2007年から論争が起きている。ターミナルに比べ販売施設など非都市計画施設が過度に広いという反論が継続して出てきた。2007年3~7月、都市計画委員会は三回にわたり案件を留保したり調整した。
折衷案が出てきた。「販売施設が大きすぎるという指摘がずっと出てきました。 何回も再審議する過程で事業施行者がターミナル内建物の一部を寄付進呈するという案を出しました。」匿名を希望した当時の都市計画委員が説明した。ターミナル事業者は建物2階1454㎡(約440坪)を公益施設として広州市に寄付進呈し、文化集会施設938㎡(284坪)は回数に関係なく広州市が使用するよう許諾するという二種類の条件が盛り込まれた‘履行計画書’を広州市に提出した。2007年9月、建築許可が下りた。 新世界建設が施工者を引き受けた。ほとんど同時にイーマートが分譲を受け開店を確定した。彼らは秘密裏に動いた。土地を強制収容されたコ・チャンス氏は建物が半分以上できた後にイーマートが開店するという事実を知った。コ・チャンス氏など9人は補償金を上げてくれと訴訟を起こしたが敗訴した。夜も眠れないほど腹がたった。


←8月3日に訪ねて行った京安在来市場は閑散としていた。在来市場の商人はイーマートが契約を終えたしばらく後にイーマートの開店事実を知った。ハンギョレ21 キム・ギョンホ


文化集会施設ウェディングホール業者に分譲


当時、広州市議会議長のキム・ヨンフン市会議員が昨年、住民400人余りの署名を集め「ターミナルより販売施設が多すぎたのに事業承認をし事業主に特典を与えた」として監査院に監査を請求した。広州市の方がさらに一歩早かった。広州市は監査請求の4日前「担当公務員が事業主に特典を与えた疑惑がある」として広州警察署に捜査を依頼した。監査院は捜査機関が捜査中だとし、監査請求対象ではないと昨年4月 明らかにした。キム・ヨンフン市会議員は今度は広州警察署を訪ねた。広州警察署は昨年6月「特典疑惑に対し監査院の監査中であるため監査終結時まで取調べ終結した」と知らせた。公務員の間に‘ピンポン’が起きた。そして2009年7645㎡(2316坪)規模のイーマートと2千~3千㎡の旅客施設を備えた広州総合ターミナルが生まれた。8月3日午後3時頃に訪ねて行った公用ターミナルは閑散としていた。10台余りが駐車できる乗り場にはバスが4台停まっていた。待合室には座席よりがらんどうの空間の方がはるかに広かった。6ヶの乗車券販売窓口は全て閉鎖されており簡易販売台で乗車券を売っていた。


イーマート京畿広州店が営業を始めて2年が過ぎたが、論難は現在進行形だ。民主党所属のチャン・ヒョンオク市会議員は事業者である(株)広州ターミナルが寄付進呈することを約束した公益施設を取り戻して行くことを憂慮し、これを防ぐために努力中だ。法律的に正当に建築許可を受けたとすれば、ターミナル事業者が地方自治体に建物を寄付しなければならない何の義務もない。チャン議員は最高裁判例に照らしてみる時、事業者が訴訟を提起さえすれば、寄付進呈した公益施設の返還が可能と憂慮している。チャン議員の要求で広州市庁は最近‘寄付進呈を受けた施設を市庁が賃貸や売却を行える’という内容に協約書を改正したことが分かった。事業者が広州市に無償使用を約束した文化集会施設をウェディングホール業者に分譲してしまった事実もチャン議員は指摘した。


チャン議員は「広州ターミナル事業は都市計画原則を無視し、特に広州市が大型販売施設の開店を公開せずに住民意見収斂を無視した。過ちを犯した担当者を明らかにし責任を負わせなければならない」として「不公正な協約書を修正し住民に公開して、在来市場商人支援策を補完しなければならない」と話した。イーマート側は「事業者から分譲を受け開店したのでありターミナル許認可とは何の関連もない」と明らかにした。(株)広州ターミナルのチョン・スンダル代表は電話通話で「イーマートの開店後、むしろ在来市場が活性化した。都市計画審議当時、(事業資金)利子を月に途方もなく払っている状況で、都市計画委員が販売施設が別に多くもないのに審議をせず、しかたなく寄付進呈した。私は被害者」と話した。


←今、慶南、金海市で4年前の京畿道広州市のような事態が起きている。金海市が旅客ターミナルにイーマートを誘致する計画を明らかにすると地域市民団体と進歩政党らが反対運動を行っている。イーマート開店反対金海市民連帯提供


金海市ではSSM法に反して推進中


監査機関は調査を止め、捜査機関は捜査を停止し、ターミナル事業者が自らを‘被害者’と称する状況は在来市場商人らの情緒とは距離がある。京安市場は57店舗17露店など74人の商人の飯の種だ。在来市場で野菜を売る露天商H(50)氏は商い続けて30年近く経つ。イーマートが開店した後、売り上げが30%程度減った。お客さんはもう5日市を待たずにイーマートへ行く。お客さんが20%減少した。H氏は「皆、生計がかかっているので店を閉めたケースはない。売上が少くても生きていかねばならないので、商売を放棄することはできない。イーマートは在来市場より駐車施設がよく出来ていて気楽で物が多くて人々が多く訪れる。在来市場は主に農水産物が多く工産品は少ない。人々が工産品を買いにイーマートに行ったついでに農水産物まで買ってしまい商売にならない」と話した。匿名を希望した60才の店舗主人はイーマート開店後に売り上げが80%に減ったと言った。「靴下と家電製品を売っている。イーマート開店後、お客さんががたっと減り、今はちょっと良くなった。靴下は安いので売り上げが大幅には減らなかったが、家電製品はほとんど売れない。若い人はみなイーマートに行く。ここは年配の人々がきて買っていく。」野菜を売っている70才の老人は「国が大型マートの許可をしなければ良い。庶民を殺そうと決意したようだ」と話した。賛成派もいる。京安市場商人会長チェ・ヒョンボム(62)氏は「初めは売り上げが落ちたが今は暮らしていけるほどには商売になる。イーマートができて商人が刺激を受け、さらに発展する」と話した。ターミナル商店街の分譲価格が坪当たり数千万ウォンに達し、在来市場商人の中でイーマートに入店した商人は殆どいない。チェ氏の話は「消費を理念的に扱うのか」というチョン・ヨンジン新世界グループ副会長のツイッター発言と似ていた。


流通・共生法が施行されて7ヶ月目だ。中小商人と市民団体、野党は重要な進展と歓迎している。流通・共生法が2007年にあったとすれば京畿道広州市の公用ターミナル事業は今と違っていた可能性が強い。しかし相変らず法適用と運営に課題が指摘されている。特に最近、大型マートがターミナルなどの公共施設の一部として開店する場合が相次いでおり論難が起きている。 予算はギリギリだが実績を残そうとする地方自治体、大型マートを歓迎する一部住民も企業側に立つ。自治体長が大型マートの登録を制限したり条件を付ける‘ことができる’と余地を設けた流通法条文も作用している。


したがって京畿道広州市は慶南、金海市の古くなった未来と呼ぶに値する。慶南、金海市で今、京畿道、広州市と同じ論難が起きている。慶南、金海市は新世界と旅客ターミナル民間駅ビル事業契約を結んだ。金海市は去る7月、当初の事業計画を変更しターミナルにイーマートを誘致する計画に対し住民1013人を相手にアンケート調査を行った。調査費用は新世界が負担した。民間駅ビルから1km以内に伝統商業保存区域に指定された外洞伝統市場があるため、流通法の適用対象だ。金海市は住民73%が大型マートの開店に賛成し、近所のHマートが独占しており競争が必要だとし、イーマート開店を継続推進すると明らかにした。流通法の趣旨に反し、金海市がイーマート開店を推進する名分は‘公益性’だ。「民間資本誘致を通じて旅客ターミナルを新築するための事業が主目的であり、大型マート開店は付随的に発生すること」と金海市は明らかにした。進歩政党と市民団体は‘イーマート開店反対 金海市民連帯’を作り反対運動を行っている。議政府に民間駅ビルを作った新世界は議政府市と争っている。SSM条例制定直前に新世界が提出した民間駅ビル内のイーマート開設登録申請を議政府市が正当な理由なしに返還したという趣旨だ。<ニューシス>によれば、ロッテマート忠南、唐津店は、2008年に地域軍部隊の建物を建ててやり開店許可を受けた。大型マートの利益が公益の服を着て入ってくると表現するほどだ。


社会的責任を忘れた経営理念


価格の安い物を快適な売り場で買えるならば消費者にとって良いことだ。しかし安い価格を支払う代価に注目しなければならないという指摘が絶えない。流通産業発展法(3条)は‘流通産業の地域別、種類別均衡発展の企画と公正な競争条件の造成’などのために対策を用意しなければなければならないと規定している。「企業倫理に土台を置き企業の社会的責任を全うする」という経営理念が新世界グループ ホームページに掲げられている。彼らの社会的責任と流通法の間の距離はまだ遠く見える。


コ・ナム記者 dokko@hani.co.kr
イ・ソニョン<ハンギョレ21> インターン記者


SSM法、残された課題
地方自治体がSSM開業規制強化すべき


昨年 国会は企業型スーパーマーケット(SSM)法と呼ばれる流通・共生法論難で沸きかえった。この法の制定に主導的に参加した民主党と中小企業協会は揃って「大型マートがターミナル内施設として開店したケースは聞いたことがなかった」と答えた。金海市のように‘公益性’を名分にSSM法の趣旨に正面から逆らう場合もあるが、依然としてSSM法は意味ある進展と評価される。問題はこの法が実際に地域の大型マートと在来市場に適用されるには地方自治体議会が‘SSM条例’を通過させなければならないという事実だ。全国地方自治体の中でまだSSM条例を制定しいていないところが少なくない。チェ・チュンギョン知識経済部長官は去る7月14日、京畿道を訪問した席で「SSM開店規制を疎かにする地方自治体には予算を差別支援する」として「伝統市場発展のために政府次元で努力をつくす」と明らかにした。


SSM法が通過した後にも論難は絶えない。光州市、北区、梅谷洞のイーマート建築許可で不法が行われた事実が最近明らかになった。光州市は7月21日、住民・商人131人が住民監査を請求した北区、梅谷洞のイーマート建築許可処分を監査した結果、この建物が用途地域・建ぺい率・容積率などで建築法に違反している事実が明らかになったと発表した。光州市は北区が建築許可を取り消し業務をないがしろに処理した光州北区の公務員3人を懲戒し、設計を適法に行わなかった設計事務所を検察に告発することを要求した。当初の許可当時、自然緑地地域に販売施設棟、2種住居地域に学院・小売店棟を別に作るとした設計書類が提出されたが、実際には基礎・壁体・屋根が連結された一つの建物が建てられた事実などが明らかになった。


原文: http://h21.hani.co.kr/arti/society/society_general/30218.html 訳J.S