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背景と性格はかなり異なるが、すべての現象に一貫した流れがある

登録:2011-08-17 12:44

原文入力:2011/08/15 19:24(1634字)


←キム・ドンチュン聖公会(ソンゴンフェ)大社会科学部教授


世界は今 混沌の渦中にある。英国ではロンドンをはじめとする主要都市の貧民街で移住青年たちが暴動を起こし全国が乱闘場となった。先日はスペイン、イタリア、ギリシャなどでも大規模な青年デモが発生した。イスラエルは建国以来、初めてエルサレムをはじめとする主要都市で数十万人の青年たちが街頭ににテントを張り抗議デモを行っている。隣のシリアでは反政府デモが連日続き2000人余りが殺害される事態が発生した。リビアは相変らず内戦中でチュニジア、エジプトは民主化の産みの苦しみを味わっている。米国は深刻な財政赤字を付け焼刃処方でしのいでいいるが高い失業率に苦しんでいる。

たとえ背景と性格がかなり異なってはいても、これらのすべての現象には一貫した流れがある。第一には政府が新自由主義経済政策を推進し過度な予算削減と親資本中心の政策を展開することにより大多数の国民に安全と福祉を提供する役割をほとんど果たせずにいるという点だ。すなわち、政府が最悪の場合には虐殺者であったり、そうでない場合でも機能不在の状態だ。 この点ではいわゆる先進国・後進国間の差も殆どない。二番目は正義の失踪だ。持てる者の貪欲が度を越し、不平等と差別が社会に蔓延しているという点だ。特に大衆デモや暴動が起きたヨーロッパと中東の多くの国は福祉予算の大幅削減、失業、腐敗、それと関連した深刻な貧富格差が存在するという共通点があり、階層移動の可能性がほとんど遮断され青年たちの挫折が深刻な状態という点が特徴的だ。三番目に、政府と政界に対する根本的な不信が全世界に蔓延している。 既成政党や政界が大衆の要求を代弁できないことにより青年大衆の不満がデモ、暴動、そして武装抵抗として現れている。


結局、政党間の差を問わず政治エリートの権力独占は大衆を政治から完全に疎外させており、英国のマスコミ財閥マードックの政界・警察癒着と盗聴事件に見られるように政府・大資本・巨大マスコミ間のカルテルは民主主義自体を脅かしている。米国のティーパーティー運動もまさに共和・民主両党の政治エリートの権力独占に対する右翼的な下層白人たちの挫折感に土台を置いている。米国の場合、たとえ改革的立法案が用意されても、大法院はその上で憲法解釈を独占しながらそれを挫折させている。政府の保護機能と政界の代弁機能を喪失した世の中で、選出されるわけではないこれら資本・マスコミ・司法権力が選出された権力を壟断し、彼らに捕獲された選出された権力は自身の既得権を守ることに汲々としている。


国ごとに条件は違うが、大方は去る20年余り持続してきた地球的新自由主義、すなわち市場と大資本が社会・政府・政治を圧倒した結果がこのような形で現れた。「社会、そんなものはない」という新自由主義の先駆者 マーガレット サッチャー前英国総理の予言が陰うつな方式で実現されたのが今日の世界全域で現れているデモと暴力事態だ。


暴動として現れないだけでわが国社会は実は更に深刻な重い病に罹っている。ところが相変らず‘国家’安保、経済‘成長’、‘先進化’、‘競争力’等、20世紀式談論を駆使する勢力が、わが国社会の主流として振る舞っている。一方で金持ちの利益が侵害されれば‘慣習憲法’のような奇怪な論理まで持ち出す司法権力が君臨しており、巨大マスコミが公論の場を汚染させることが目に明らかに見えるにも関わらず、野党圏は政権交替がバラ色の未来を保障すると信じているようだ。選挙や政党を無視しようということではなく、選出された権力が直面する限界を直視しつつ更に深層的な代案を探そうということだ。


原文: https://www.hani.co.kr/arti/SERIES/56/491812.html 訳J.S