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[世相を読む] 労働統計からみた韓国の国格/チャン・グィヨン

登録:2011-07-20 07:44

原文入力:2011/07/19 18:54(1720字)

失業保障がきちんと行われないために
低賃金の働き口が蔓延し
所得補充ために労働時間が長くなる

←チャン・グィヨン慶尚大社会科学研究院教授

去る13日未明、最低賃金委員会では労働側委員が退場した中で使用者委員と公益委員だけが残り来年の最低賃金決定案を通過させた。時間当り4580ウォン。今年の4320ウォンより260ウォン(6.0%)上がった。公益委員側が仲裁案として出した金額中の最低水準だ。その上、経営側が初めて提示した30ウォン(0.7%)引き上げより8倍を越える金額と引上げ率で決定されたため、使用者側が大幅に譲歩したと見なければならないだろうか…。今、ふざけているのか?

経済協力開発機構(OECD)統計を見れば、韓国の最低賃金は労働者平均賃金の33%、中位賃金の41%であり、法定最低賃金制度のある21ヶ国中で最後から4番目だ。この記録には労働者を優待する国々である北ヨーロッパ国家とドイツなどは抜けている。それらの国では最低賃金を法で定めず、労使団体協約で決めるためだが、もちろんそうして決まる最低賃金水準は非常に高いほうだ。

最低賃金水準はそれでも良い順位のように見えたりもする。韓国で失業給付の平均所得代替率は1年基準で31%であり、経済協力開発機構国家の平均である52%に大きく及ばないながらも堂々と最後から2番目を占めている。韓国より1人当り国内総生産(GDP)が低いトルコ・ハンガリー・ポーランド・チェコ・ポルトガル・スペインなども全て低くは40%台から高くは70%台であり韓国とは肩を並べられない。

失業給付が通常は以前の賃金の50%として算定されるのに所得代替率がなぜこのように低いのかいぶかしいと考えがちだ。それは失業給付を受けられる期間が大概の場合に長くもって6ヶ月程度と非常に短いためだ。障害者や高齢者で10年以上勤続したという難しい条件を充足させた時の最大値が8ヶ月だ。長期失業給付制度は最初からない。経済協力開発機構では5年基準の長期失業の時に所得代替率も求めているが、この統計で韓国の数値と順位はきまり悪くてとても引用をできない。

従って韓国では労働者が働き口を失えば直ちに至急また仕事を見つけなければならないという意味だ。低賃金だとか最低賃金だとかと選んではいられない。すなわち失業給与も切れ何の所得もなくなってしまうから。したがって法定最低賃金は多くの労働者にとって最後の砦だ。時間当り4580ウォン、一ヶ月、法定労働時間どおり仕事をすれば100万ウォンの月給になるかどうかという金額だ。

その結果、経済協力開発機構統計の中に韓国が後順位ではなく前順位で誇らしい1位を守っている項目がある。労働者の平均労働時間。良く知られているように、これは他の国々があえてその地位を狙うことができない不動の1位項目だ。失業保障がまともに機能しない状況で労働者はどうにか仕事場を見つけなければならず、なおさら低賃金働き口が蔓延することになるが、その上に法定最低賃金も生計を維持するには非常に不足した水準だ。結果的に法定労働時間だけ仕事をしてはまともに生きていくのが難しいため、さらに長く多くの仕事をすることで所得を埋め合わせるほかはない。そして労働時間項目では堂々たる1位を占める…。ところで、これは自慢していて良いのか?

いつからか政界で‘国の品格’という言葉をよく使っているようだ。主要20ヶ国首脳会議を開催した時に流行したし、最近では平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック開催が確定した時も間違いなく登場した。ところで労働研究者としては他所へ行って韓国の国格を話すには真に恥ずかしいことばかりだ。

多くは望まない。国内総生産水準に見合うように経済協力開発機構国家の少なくとも中間くらいにはしよう。そうしないのなら似合いもしない‘国の品格’の言葉は持ち出すこともやめるとか…。

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/488080.html 訳J.S