※訳注:これは前総理の寄稿であり、ハンギョレ新聞社の立場と一致するものではありません。
原文入力:2011-05-10午後07:57:05(1943字)
←チョン・ウンチャン前国務総理・同伴成長委員長
私たちの期待を思い切り集めたチュ・シンス選手が大きな失敗をした。クリーブランド インディアンスの同僚らと連勝祝いの会を楽しんだ後、飲酒運転をしたのだ。 事件後、直ちにチーム同僚らとファンたちに謝ったとしても誰が見ても過ちだ。 真に残念だ。
パク・チャンホとキム・ビョンヒョンが米国を去った後、チュ・シンスは唯一の韓国出身メジャーリーガーだ。彼は万年下位圏だったインディアンスがシーズン始め序盤に20勝(8敗)を上げ、メジャーリーグ30チーム中で最高勝率を記録することに大きく寄与した。遺憾がより大きい所以だ。しかも2008年から昨年まで3年連続3割打率を上げ2009年から2年連続20-20クラブ(20ホームランと20盗塁)に加入までしたではないか。今年より更に良い記録を上げることを期待する韓国ファンたちにはこれほど残念なことはない。まだ裁判所の判断は出ていない状況であり、チュ・シンスは事件以後初めての4競技でヒット1本も打てなかった。幸い週末には逆転2塁打でチームを勝利に導いた。チュ・シンスが飲酒運転の後遺症から完全に抜け出しインディアンスを秋祭りに出て行けるようにすることはできないだろうか? 私たちができることは多くなさそうだ。彼の境遇を理解してあげ激励メッセージを送ること程度だ。
私は昨年12月、プロ野球斗山ベアーズ ソン・シホン選手の結婚式で、チュ・シンス選手と短時間だが会い挨拶を交わし‘本当にきれいな人’という印象を受けた。また、彼が出演した‘膝打ち道士’を見ながら知性を備えた選手という印象を持ったし、インターネットを通じて彼が英語を話すのを見て‘努力型’だと考えた。それが私が彼を知っていることのほとんど全て。
だが、私もやはり長い米国留学生活をした身なので、米国で成功したスポーツ スターが それも韓国人選手が体験する険しい道を自ら想像することはできる。彼は長い外国生活から来る孤独のためにしんどい毎日を過ごしただろう。広大な北アメリカのこの都市あの都市を飛行機で転々として野球をすることは容易ではないことだ。いくら努力しても言語の限界に陥ったりもする。良い成績を上げるほど勝利に対する強い切迫感と同僚選手たちの猜疑と嫉妬にともなう心理的圧迫感に苦しめられたかも分らない。自身の心の中の感情を思い切り表現する機会もあまりない。自然に酒でほぐす場合も多かっただろう。私は彼が連勝の喜びを酒で満喫し、度を過ごしたと思う。また、ロサンゼルスなど韓国人が多く暮らす所とは違い、オハイオは代行運転も多くない。
逮捕後に公開された動画の中で、チュ・シンスは「私は野球選手だ。私が韓国に戻れば二度とこちらに帰ってこれないだろう。私の人生は終わりだ」と哀願する。事件後、マスコミは‘チュ・シンス 恥さらし’という題名で集中砲火を浴びせた。ところが私はチュ・シンスの震える声があまりにも哀れに思えた。「私は終わりだ」(I will be done)と話す部分では心がじいんとした。私の頭の中は複雑だった。‘逮捕当時、どれほど挫折し絶望しただろうか’、いろいろなことを思った。
その上、警察で卑屈な振る舞いをしたというような報道を見て、彼が痛ましいばかりだった。ややもすれば選手生活が脅かされる状況で、凛々しい気性を見せることを期待するのは無理というものではないだろうか? 野球を愛する人々に申し上げたい。
先ず米国裁判所にお願いしたい。チュ・シンスの飲酒運転が今回が初めてならば、一度は許してくれることを望む。言語と文化差異などから来るあらゆるストレスを受けるしかない外国選手に寛容を施すことを望む。第二に、クリーブランド インディアンスにお願いする。現在、メジャーリーグに韓国出身選手はチュ・シンスだけだ。野球の東西の架け橋、さらに正確に言えば‘韓-米の架け橋’のために、チュ・シンスに機会をもう一度与えて欲しい。第三に、韓国言論に提案する。苛酷な批判は自制することにしよう。合わせて、過ぎた関心と期待、称賛はむしろ負担になりかねないという点も念頭に置こう。
チュ・シンスは二度と飲酒運転をしてはならない。しかし彼が今、出発点から新たに出直せるように私たち皆が応援しよう。彼の無限の未来が私たちを感動させると私はあえて信じる。
チョン・ウンチャン前国務総理・同伴成長委員長
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/477221.html 訳J.S