原文入力:2011-04-19午後08:14:32(1768字)
キム本部長の暴言は
この国のエリートが農民に対して持っている
根強い偏見と農業蔑視意識を赤裸々にさらけ出した
ノ・ドンギュ ソウル市江南区三成2洞
先週金曜日、信じられないようなことが起こった。行政府の官僚が国民の代表である国会議員に向かって“勉強しなさい”とたしなめ、ついには叱り飛ばしたのだ。“韓-ヨーロッパ連合(EU)自由貿易協定(FTA)批准同意案”を審査・表決するための国会外交通商統一委員会法案審査小委の会議席上で起きたことだ。
民主労働党カン・キガプ議員に対し“カン議員、もう少し勉強してからにして下さい”と言ったキム・ジョンフン通商交渉本部長は、最近相次いで明らかになった国家間協定文の翻訳上の誤りにより、世界的恥さらしになった当の本人である。 小委員会委員ではないカン議員はこの日 国会議員のひとりとして参観し、農業被害補償対策について問いただしていたところだった。両者の間にどんな私的感情があったかは知らない。しかし取材陣もいる公開の席上で国民を代表する国会議員をたしなめ叱り飛ばして言い争う官僚を見て、侮辱感を感じたのは私一人ではないだろう。
長官が国会議員を指さして「気の狂った奴」と言ったのもついこの間のことであり、大統領までが数回にわたり国会に対する嫌悪感をあらわにしたのを見れば、この政権の国会無視は根が深い。日々複雑になる現代社会において、代議民主主義でない他の方式で国民の意志を表現することは現実的に容易でないということを認めるならば、国民を代表して代議する国会の役割と機能はより大きくなって当然なのに、かえって今日の韓国の議会はこのように惨憺たる無視にあってばかりいるのだから嘆かわしい。
キム本部長はカン議員を称する際に、儀礼的な‘ニム’という敬称さえ付けなかった。聴聞会を含めこれまで数多く開かれた国会会議において、“高姿勢”の公職者が時々登場することはあっても、そのありふれた尊称まで省略したケースはなかったように思う。選出された代表に対する尊敬と尊重を込めた慣例であるからだ。いくら尊敬していなくても「尊敬する誰それ議員様(ニム)」と称するのが一般的だ。 だから「もう少し勉強しなさい」「言葉に気をつけなさい」と叱り飛ばす官僚の前に本来侮辱感を感じるべきだったのは、そばで沈黙していた同僚議員たちだ。何党の議員であるかを離れて、国民が委任した権威をこのように無視してもかまわないというのか。
キム本部長の暴言はまた、この国のエリートが農民に対して持っている「農民出身議員は無知で勉強もしていないだろう」という偏見を赤裸々にさらけ出した。そこには「農民であるから誰よりも農民をよく代弁してくれるだろう」という極めて素朴だが筋の通った考えでもってカン議員を選んだ有権者までを無視する傲慢さがその根底にある。携帯電話と自動車一台を多く売る代償として犠牲にならねばならない農民のために代弁せよと国会に送られたカン議員に対し「もう少し勉強しなさい」と叱り飛ばしたキム本部長が図らずも「暴露」したのは、このような韓国エリートの根深い農業蔑視意識でもあった。
最大の責任は昨年末の予算案“抜き打ち採決”に見られるように、行政府の“挙手機”を自任して国会の権能を自ら投げ出した巨大与党にある。また事ここに至るまで深層原因分析よりも(国会)暴力の中継に汲々として国民の政治嫌悪症ばかりを募らせてきた言論機関もまた弁解の余地がなかろう。
ところでキム本部長は“一方的に与えるばかりの交渉”と批判されている「韓-米FTA協定」を“画期的ディール”(オバマ米大統領)へと導いて、米国から“自由貿易の権威者”という賛辞とともに世界貿易機構(WTO)事務総長の地位への支援を約束された。これは旧韓末に売国の代価として爵位を受けた親日派を連想させるが、国会議員を叱り飛ばして彼が強調した“勉強”というのはいったいどんな勉強であろうか?
原文: 訳A.K