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[社説] “イ・ジュンギの安保動画”内容・形式ともに稚拙だ

登録:2011-03-14 07:51
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/467624.html

原文入力:2011-03-11午後08:19:45(1156字)

政府が、天安(チョナン)号事件調査結果に疑問を提起した人々は北朝鮮の延坪島(ヨンピョンド)挑発(訳注:延坪島砲撃事件)に責任があるという内容で、安保教育動画を作り普及させている。荒唐無稽な内容に加え、軍服務中の映画俳優イ・ジュンギ氏を登場させたことで論難が大きくなっている。
国防広報院は18分の「青少年用政府標準安保映像物」を作り、去る7日から全国の幼稚園と小中高校に配った。 この映像物は北朝鮮の延坪島(ヨンピョンド)挑発の理由の一つとして「我が国民の分裂」を提示し、イ・ジュンギ氏を登場させた。 黒いベレー帽をかぶり“一日安保教師”として出てきた彼は「国民皆が安保状況を正しく知って、心を一つにし思いを一つにして対処しなければなりません」と話し始める。

続いて少年の声の漫画キャラクターが、政府の天安号事件調査結果発表を巡る論議を取り上げる。 少年の声は「先進各国の権威者が参加して解明したことさえ信じようとしない人々が、国民を分裂させたんだよ」と言い「もしあの時あんなふうに争わないで私たち国民が力を合わせて徹底して備えていたら、延坪島挑発を防げたかも知れない」と主張する。 そしてすぐにイ・ジュンギ氏が締めくくりの発言をする。 問題の内容と彼のイメージを巧妙にオーバーラップさせたのだ。

この動画は政府中心の一方的な認識を盛り込んだものだ。政府の天安号調査結果を巡っては、国連安保理から韓国国会に至るまで激しい議論がなされた。そしてまだケリがついたとは言えない。 その上、北朝鮮の延坪島挑発を韓国社会の天安号論争のせいにするのは全く根拠のない飛躍だ。 こういう内容を青少年に注入するのは、非教育的であるだけでなく、安保態勢の強化にも決して役に立たない。

入隊したタレントのイメージを軍当局が勝手に利用するのも問題だ。 政府と市民社会の一部が互角に対立している天安号論争について、イ・ジュンギ氏自身が自由な状態ではどう思うのか気になる。 彼は2008年ロウソクデモを支持したし、金大中・盧武鉉前大統領逝去のときには追慕文もミニホームページに載せたことがある。ネチズンは彼を“考えのある芸能人”と呼んだりもしている。 もしも本人の自由意志に反して広報動画に動員されたのであれば、反人権的な“イメージ収奪”と言うことができる。 命令を拒否しにくい兵士という弱点を利用して、芸能人の固有イメージとその信条に反する広報活動を強要する権利は誰にもない。

原文: 訳A.K