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[寄稿] 時代錯誤的な軍加算点制度/キム・ジュドク

登録:2010-09-16 01:26
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/439969.html

原文入力:2010-09-15午後07:54:09(1707字)

キム・ジュドク弁護士・前慶煕大法大教授

10余年前、私たちの社会は軍加算点制度を巡り熱い論争を行った。1961年7月軍事政権下で導入された軍服務者に加算点を与えるという破格的な特典制度に永らく誰も問題提起できなかった。勇気ある女性と障害者、大学生などが先に立ち違憲審判請求をした。憲法裁判所は北韓との軍事的対峙状況を考慮しながらも1999年12月23日、軍加算点制度は憲法に違反するという苦悩に充ちた決定を下した。

憲法裁判所は「何人も兵役義務の履行によって不利益な処遇を受けないという憲法第39条第2項の規定は、兵役義務を履行した者に補償措置や特典を付与しろとの趣旨ではない。能力や職務遂行能力と関係ない要素を基準として選抜することにより女性と障害者の公務担任権を侵害するものだ。加算点は合格可否に決定的影響を及ぼすので、除隊軍人に比べ女性および除隊軍人でない男性を比例性原則に反して差別する結果を持たらす。加算点制度により憲法が保護しようと思う雇用上の男女平等、障害者に対する差別禁止という憲法的価値が侵害される」ということを違憲判断の重要な根拠として提示した。

この違憲決定により軍加算点制度は廃止され、10年以上にわたり軍服務者なども加算点を受けずにすごした。最近、また軍加算点制度を再導入しようとする試みが進行中だ。結論的に言えば、私たちの憲法から消えた古い制度を再び復活させてはならない。歴史の時計は反対に回れない。合理的な時代精神を後退させる結果を持ってきてはならない。

最初に、私たちの憲法が指向する平等主義は、何人にも軍服務を終えたという理由で就職で特典を許容しないことが明らかだ。兵役や納税義務を履行したという理由で就職で特恵を与えることは実質的平等理念に反する。能力主義に基づかず、均等な機会自体を剥奪する軍加算点制度はそれ自体で憲法に違反する。すでに違憲決定を受けた制度を再び政府で法として推進することは憲法尊重精神にも真っ向から反する。

二番目、この間、社会的法意識として席を占め国民に確立された制度を事情変更なしで覆すことは不合理だ。この間、軍服務者らも特典を受けるつもりなしで就職試験を受験してきた。今また再び軍加算点制度を導入するならば、個人的事情で軍隊に行くことができなかった障害者・女性などはくやしい差別にあうこととなる。差別禁止および是正義務を付与している国連女性差別撤廃協約、国連障害者権利協約、国際人権基準などの国際協約にも背く素地が大きい。

三番目、軍加算点制度を再導入するとしても、その恩恵は全体除隊軍人中の1%未満に該当するごく少数の人に帰る。これに反し、差別待遇を受けることになる女性と障害者、その他軍服務を終えることが出来ない男性の数は絶対多数だ。ごく少数の人を対象にする異例的な特典制度は社会的な違和感と葛藤を助長し消耗的な論争だけを呼び起こす。

四番目、今や私たちの社会は憲法上価値の自由に劣らず平等の理念と価値に大いなる関心を示している。最近、長官の子供に対する採用上の特典是非に対して国民が見せた強い拒否感が端的な事例だ。公正な社会は人権と自由が保障され経済発展を達成する価値と同等な水準で全国民が追求する理念だ。

軍服務者たちが社会に寄与したことに対し、社会的支援や補償は軍加算点のような憲法違反制度を通じることではない。むしろ機会均等次元で軍服務者全体が恩恵を受けることができる支援方案を用意しなければならない。軍服務者の服務条件改善、機会喪失保全など実質的な内容の政策的補償が必要なことであり、あえて憲法裁判所で違憲決定を下した経緯があり、女性と障害者、軍未了者などの積極的な抵抗が予想される軍加算点制を再び導入しようとする試みは賢明な処置ではない。

キム・ジュドク弁護士・前慶煕大法大教授

原文: 訳J.S