本文に移動

ウクライナの苦しみに共感できる国、大韓民国 【朴露子の韓国、内と外】

登録:2026-10-15 08:44 修正:2026-10-15 10:06
イラスト=キム・デジュン//ハンギョレ新聞社

 東欧は韓国の貿易・外交においてそれほど中心的な地域ではない。ときに武器輸出などでメディアの注目を集めることもあるが、政府やメディアの関心は東欧よりも豊かな市場である西欧や北米、中国、そしてエネルギー供給地である湾岸地域などに向けられている。関心が薄かっただけに、これまで目立つ摩擦もなかった。実際、過去30年余りの韓国の外交史において、1998年の韓ロ相互追放事件を除けば、東欧諸国との間でこれといった摩擦が表面化したことはなかった。

 こうした背景を考えると、最近の韓国とウクライナとの間の外交摩擦は極めて異例であり、その発端をウクライナ大統領が提供したことは疑いの余地がない。おそらくウクライナとしては、敵国も同然の北朝鮮に対し、国連の舞台で強いメッセージを送り、国際的な「反北朝鮮連帯」を築き上げたかったのだろう。ところが、その過程でゼレンスキー大統領は、北朝鮮に残された家族の身の安全などから非公開が原則であるデリケートな北朝鮮捕虜移送問題を公開してしまった。これにより、国家間の信頼を損なったことも事実である。だが、韓国外交部が他国に対してめったに行わない公の謝罪を要求したうえ、最近海外メディアを通じて報じられたウクライナ侵攻中のロシアへの石油製品輸出疑惑などを踏まえると、この事態を単なる「ゼレンスキー大統領の過ち」として片付けることはできない。

 この事態の背景には、ロシアとウクライナ戦争に対する韓国政府の姿勢の変化があるように思われる。バイデン政権時代、米国がウクライナ支援を主導していた頃までは、韓国が米国に「貸与」するなどの方法でウクライナに砲弾などを間接的に支援しているという海外メディアの報道さえあった。一方、ウクライナを「資産」ではなく「負担」、あるいは対ロシア関係で活用できる「切り札」とみなすトランプ政権時代になると、韓国政府もまたウクライナに対して冷淡な態度を見せ始めた。ここ数カ月、ロシアの港湾などの施設に対する攻撃により、戦況がウクライナにとって不利に傾いている。このような状況で、米国の立場が韓国政府の態度に最も大きな影響を与える要因となっているものとみられる。

 しかし、こうした短期的な情勢の変化はさておき、韓国にとってウクライナが果たしてどのような意味を持つのか、根本から振り返る必要がある。一見したところ、韓国とウクライナの間に共通点などあまりないように見える。朝鮮半島には古代以来、千数百年にわたって中央集権的な独立国家が存在してきたが、現在のような国境を持つウクライナが登場したのは1991年、つまりわずか35年前だ。それ以前のウクライナ地域は、概していくつかの帝国に分割されていた。ところが、もう少し深く考えてみると、ウクライナと朝鮮半島の間には明らかな共通点が存在する。どちらも地政学的な地層の間、すなわち列強の対立と衝突が常に激しかった境界地帯に位置している点だ。朝鮮半島が日清戦争・日露戦争の戦場となったように、ウクライナでは第一次世界大戦やロシア内戦、そして第二次世界大戦の最も凄惨な戦闘が繰り広げられた。第二次世界大戦後の東西冷戦が朝鮮戦争として本格化したように、中ロブロックと欧米圏間の対立の本格化がウクライナ戦争として表出したことは、こうした地政学的な論理の観点から十分に予想できたことだった。朝鮮半島が分断されたように、現在ロシアが占領しているウクライナ東部の一部と、残りのウクライナの地域もまた、分断と二元化の過程に入っている。こうした(歴史的かつ地政学的)文脈を振り返ってみると、韓国人がウクライナに対して「同病相憐む」感情を抱いてもおかしくないのではないだろうか。

 このように根本的な類似性があるにもかかわらず、ここ35年間、韓国とウクライナの明暗は分かれてきた。両国とも製造業が発達した工業社会だが、冷戦時代から海外市場を開拓してきた韓国とは異なり、ウクライナの工業の主な市場は旧ソ連内部だった。冷戦の終結後、韓国の工業は新自由主義体制にうまく組み込まれて急成長した。一方、ソ連という市場を失ったウクライナの工業は衰退していった。さらに、最近ではロシアの侵攻や東部産業地域の奪取、産業施設の破壊、それによる労働人口の大量流出といった悪材料が重なり、ウクライナは欧州で最も貧しい国となってしまった。現在、韓国の1人当たり国民所得はウクライナの約7倍に達している。実のところ、韓国政府がウクライナよりも豊かな国々に対してはめったにしない「公の謝罪」という超強硬な要求を突きつけた背景には、韓国とウクライナとの間のこうした絶対的な非対称性がある。今後どれほど成長を重ねたとしても、戦争による破壊や労働力の不足、ロシアからの長期的な安全保障上の脅威に悩まされるウクライナが近い将来、韓国のような高所得国の仲間入りを果たす可能性は低い。

 しかし、相手国が貧しく最悪の国難に直面し未来が不透明だからといって、その国を「軽んじて」冷遇することが、果たして先進国が示すべき態度なのだろうか。韓国が世界市場を相手に製造業製品を輸出し資本を蓄積して現在の富裕国となった以上、国際社会においてその富に見合った「責任」も負うべきだ。国家間の信義を裏切ったゼレンスキー大統領の行動にもかかわらず、戦争の惨禍に苦しむウクライナ住民への支援を続け、むしろ拡大することこそが先進国の品格と言えるだろう。この戦争の惨禍をゼレンスキー政権の失政のせいにする人々が韓国国内にも少なくないが、前述したように、地政学的な地層の間に位置する国としてこのような悲劇を避けることは極めて困難だ。ゼレンスキー政権の是非に対する評価と判断はあくまでウクライナ市民の役目だ。韓国人が考えるべきは、惨禍に苦しむウクライナ社会を最も効果的に支援する方法だ。

 現在、ウクライナの8つの大学で韓国語講座が開設されている。キエフ、ドニプロ、オデーサの大学生たちは、毎日のように降り注ぐドローンやミサイル攻撃の中でも懸命に韓国語を学び、韓国と結びついた未来を夢見ている。彼らにとって韓国は、ウクライナのように強大国に挟まれた弱小民族であっても、産業の発展と民主主義を同時に成し遂げることができる、という希望の象徴だ。そして韓国は、彼らの希望に満ちた視線に誰よりも深く共感し、あたたかく応えることができる歴史的記憶を持つ国だ。

//ハンギョレ新聞社
朴露子(パク・ノジャ、Vladimir Tikhonov)|オスロ国立大教授・韓国学 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1282260.html韓国語原文入力:2026-10-14 08:18
訳H.J

関連記事