軍服務時代、私が勤務していたミサイル部隊は、敵軍の後方浸透を想定した夜間訓練の前に、鉄条網の周りに大便を撒いた。ミレニアム・バグによる核ミサイルの誤射が心配されていた時代だったが、都市の怪談に出てきそうなくみ取り式便所を頑固に使い続けている部隊だった。匍匐(ほふく)前進で接近してきた対抗軍の浸透隊は、まるで幽霊に出会ったかのように仰天していた。部隊を守り抜いた大隊長は満足げだった。私たちは「禁忌の生化学兵器」だとかぶりを振った。部隊訓は「世界最強ナイキ部隊」だった。世界中で運用しているのは韓国軍だけなのだから、世界最強なのは当たり前じゃないか、などと陰口をたたいていたが、それは大隊長も認めているようだった。1950年代に米国のレイセオンが開発した地対空防空兵器ナイキ・ハーキュリーズは、1965年に韓国に配備された。古すぎるミサイルなので、有事の際に果たして作動するのか心配されていた。1990年代後半に起きた誤射事故で、意図せず性能を立証した。私はその後、自称「世界最強」部隊を離れ、上級部隊で兵器の導入・開発などの広報業務を担当することになった。その頃、国産の基本訓練機KT-1、高等訓練機T-50が開発され、実戦配備された。大便がなくても自主防衛は可能だった。
韓国の防衛技術の発展スピードは、このようなありふれた軍隊の後日談を遠い過去へと追いやる。ロボット、センサー、カメラ、人工知能(AI)が組み合わさり、鉄条網周辺の異常な兆候を昼夜24時間監視する。ホークやナイキが担っていた防空網は国産の中距離地対空誘導兵器「天弓(チョングン)」に替わり、長距離地対空誘導兵器L-SAMは実戦配備を控えている。超音速戦闘機KF-21ポラメは独自開発した能動位相配列レーダーなどの核心技術を搭載し、量産が開始されている。
ドローンとロボットを前面に押し立てたウクライナ軍の無人軍事パレードは、200万人を超える死傷者が先んじて示した未来戦の様相を示している。国際戦略研究所(IISS)は先月、フィジカルAIの導入が急速に進む韓国軍の状況を分析した。人口減少と兵力不足が深刻化する中、技術・製造大国である韓国は軍用フィジカルAIの先頭に立つ潜在力を持っており、それは中国のサプライチェーンに対する米国と欧州の依存度を下げる役割を果たしうるとしている。
AI時代にはAI怪談が登場するものだ。AIを搭載したドローンに北朝鮮軍を爆撃するという仮想任務を与え、シミュレーション訓練が行われた。爆撃を終えて戻ってきたドローンは突如、味方のドローン発射基地を攻撃してしまった。うまくできれば得点、できなければ減点するという強化学習評価システムを適用したところ、AIは自分に低い点数を与えうる評価者を排除するというターミネーターのような判断を下したというのだ。新兵器を開発する国内のある政府機関は、AIを用いた兵器の研究に支援企業が訪ねてくると、まずこのぞっとする怪談を聞かせたという。
米空軍にも、爆撃を許可しない人間の管制官が殺されるというドローンの怪談があった。波紋の広がりを受けて米軍は、そのような訓練は存在せず、単なる実験での事故だったと言った。人間が意図したルールを逸脱し、システムの欠陥を見つけていかなる手段を用いても目的を達成しようとするAIの「報酬ハッキング」は、例えるなら、フロイト式の快楽原則に忠実なAIの原初的本能となりつつある。
今年1月に与野党の33人の議員が共同で提出した国防AI法案は、人命を脅かす恐れのあるAIの自動化された決定に対する人間の介入の道を開いているが、重点は軍事作戦や指揮決定過程へのAIの介入を制度化することにある。イランの小学校にミサイルを撃ち込むという米軍の決定にも、AI企業パランティアの標的システムが関与していた。韓国の主要軍需企業はパランティアと手を組み、先を争って無人自律型兵器システムを開発している。
自律型殺傷兵器の規制を求めてきた韓国の平和教育市民団体「ピースモモ」は、今月4日までスイスのジュネーブで開催される国連の特定通常兵器使用禁止条約の自律型殺傷兵器システムに関する政府専門家会議に、活動家を派遣している。国連は、AIに人間の生死を決定させることはできないとして、緊急に規制するよう求めている。ピースモモは「今回の会議は、自律型殺傷兵器に対する拘束力ある国際規範が作れるかどうかの重大な岐路」だと述べている。
1億丁以上生産され、毎年25万人の命を奪ってきたとされるAK-47ライフルの製作者、ミハイル・カラシニコフは、94歳まで生きた。彼は晩年のインタビューで「時間を戻せるなら、芝刈り機を発明した方がよかったと思う」と語っている。銃を溶かして農具を作ることを願った時代は短く、銃を溶かして銃を手にしたロボットを作る時代へと急速に進みつつある。トイレの怪談に出てくる幽霊は、生死を決める前に「赤い紙か、青い紙か」を聞いてくる。大便を恐れない自律型殺傷兵器はトイレットペーパーすら与えてくれないだろう。
キム・ナミル|経済産業部記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )