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[特派員コラム] 菅直人の危険な選択/チョン・ナムグ

登録:2010-08-13 11:21

原文入力:2010-08-12午後11:25:33(1715字)

チョン・ナムグ記者

←チョン・ナムグ東京特派員

日本<NHK>放送が日本の若者たちに‘韓国と言えば思い出す人’を尋ねたところ‘ペ・ヨンジュン’との回答が最も多かった。<韓国放送>(KBS)がそのような質問を韓国の若者たちに投じたところ‘伊藤博文’を最も多く挙げたという。これを見れば、日本の若者の62%が韓国が良いと言い、韓国の若者の72%が日本が嫌いだと答えたこともそんなにおかしくない。

両国の若者たちの内心をもう少し深く覗いて見る機会が最近あった。去る7日、東京、渋谷の<NHK>スタジオで20人ずつの両国の若者が参加した討論会が開かれた。5時間余り続いた録画(14日夕 8時から2時間半放送)をそばで見守り、討論参加者たちに別に会いもした。

文化を主題にした討論は熱くなかった。違いを尊重しようという共感が簡単に形成された。経済に関する討論では、相手の長短所に対する生半可な断定を警戒した。ところが討論主題が歴史へ渡るや雰囲気は一変した。日本の若者たちが提起した問題は‘いったいいつまで謝罪し続けなければならないのか’ということだった。韓国の若者たちは‘日本が言葉では謝罪すると言いながら、すぐに違う話をして真正性が感じられない’と反論した。

特別招待客2人の言葉が記憶に残っている。小倉紀蔵京都大教授は「歴史に対しては多様な意見が許されなければならない」と強調した。そのような開かれた空間が許されたおかげで、日本の‘歴史直視’はむしろ進展してきたと彼は話したようだった。彼の話から、私は日本人全員が声をそろえて謝罪する時にはじめて真正性を認められるという態度が果たして正しいのか、深く考えないわけにはいかなかった。

日本で活動する俳優ユン・ソナ氏が「私の前にいるその日本人が加害の当事者ではない」と言った話も響きが大きかった。私たちは日本人との対話でたびたびこれを忘れたりする。

<NHK>のこの日の討論会録画は結局、高いトーンの論争が行き交う中で幕を下ろした。最後まで韓国の若者たちが納得し難かったことは‘独島’問題だった。

前総理補佐官 岡本行夫が 「独島問題はすぐには解決されないだろう」と話し、これを問い詰める発言がすぐに飛び出してきた。チェ・ヤンイル映画監督(在日韓国人)が 「独島問題は1965年の日韓基本条約の際、保留することにした懸案だ。その歴史を知らなくてはならない」として引き止めたが、ある討論者は「日本が独島の話をする度に植民地時代を考えることになる」と抗弁した。両国関係を改善するには何が最も必要なのかという2つの放送会社の質問に、日本では‘政治的対話’という答が最も多かったが、韓国の若者たちは‘独島問題解決’を挙げたという。やはりそうだった。

菅直人日本総理が10日に発表した談話には独島に対する言及はなかった。そうでなくても失望の声が出ているが、独島が日本領土という内容が含まれた防衛白書がすぐにも発表されれば果たしてどのような反応が出てくるだろうか? 明らかなことは、日本でどんな偉大な指導者が新しく出てきても独島領有権主張を覆すことはもう難しくなったという点だ。それでは韓国人が日本に向かって心を開くことは、今後もそんなに容易ではないだろう。

今年は韓-日関係にとって新しい転機になりうる100年に一度の機会だった。独島問題はさて置いても、菅総理の談話が韓国人の心を開くのに力不足だった件は非常に惜しい。しかし菅総理は市民運動家ではない。国民の色々な意見に耳を傾けなければならない総理だ。党代表選挙を控えた彼が、政治的に有利なことのない今回の談話を、危険を甘受して出したという事実は記憶しなければならない。談話が真心ではなかったとすれば、あえてそのような選択はしなかっただろう。
チョン・ナムグ東京特派員 jeje@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/SERIES/225/434892.html 訳J.S