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長文の「キム・ヨジョン談話」、なぜ中東やウクライナを語り、朝米で締めくくったのか

登録:2026-08-22 01:33 修正:2026-08-22 10:53
2022年8月10日、北朝鮮の平壌で開催された全国非常防疫総括会議で、朝鮮労働党のキム・ヨジョン副部長(当時)が演説している/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 米国のトランプ大統領の指示で韓米合同演習「乙支(ウルチ)フリーダムシールド(UFS)」が急きょ縮小されたことに対し、朝鮮労働党のキム・ヨジョン総務部長は19日夜、「主要な国際問題に対する立場」(談話)を発表した。

 キム・ヨジョン部長はこの談話で、トランプ大統領による合同演習の縮小指示について「評する価値もなく、まったく興味を感じない」として、演習の規模や期間が縮小しても対朝鮮敵対政策の本質は変わらないと主張しつつも、金正恩(キム・ジョンウン)労働党総書記兼国務委員長とトランプ大統領の関係については「依然として素晴らしい」と評価した。この部分が関心を集めた。

 しかし「キム・ヨジョン談話」は、韓米合同演習の縮小やトランプ大統領だけでなく、「全地球的な安全保障危機を助長している主要な国際問題」に対する考えについても多くを割いて表明している。キム・ヨジョン談話は2960字からなるが、韓米合同演習とトランプ大統領に関する内容は1231字だ。意図的に朝米関係を広範な地域およびグローバルな安全保障の問題の一つとして扱っているのだ。

 キム部長はトランプ大統領と米国に直ちに言及しているわけではない。談話の最初の文はこうだ。「最近、予測不可能性と複雑さがいっそう顕著になっている国際情勢の流れは、世界各地で地政学的危機を増幅させ、平和と安定を願う国際社会の深刻な懸念を呼び起こしている」

 キム・ヨジョン談話は「世界の衝突と混乱を代弁する縮図とみなしうる中東地域」を皮切りに、「武装紛争の長期化局面がより厳しい段階に」入っりつつあるロシア・ウクライナ戦争、「朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦との諸般の協力」と表現した朝ロ軍事協力、「日本の無分別な軍事的膨張の試み」などについて、一つひとつ意見を表明している。

2024年1月14日、ウクライナ兵が155ミリ砲弾をウクライナのザポリージャ戦線の近くに運んでいる/ロイター・聯合ニュース

 このような国際問題についてキム部長は、「我々は国家の安全利益と地域の安全環境に対する最大の脅威が米国から来ているという変わらぬ現実に立脚し、強力な力の立場から脅威を除去し、真の平和と安定を保障するための根本的なアプローチを常に維持する」という基本的立場を表示したうえで、韓米合同演習とトランプ大統領に言及している。

 キム部長は朝米関係を、北朝鮮と米国との問題ではなく、欧州とアジア全体を包括するユーラシアの安全保障構図からみるべきだと強調しているのだ。

 北韓大学院大学のキム・ドンヨプ教授は「平壌は現在の国際情勢を一つのつながった戦場だとみているということ」だとして、「談話の最初の部分から中東、ウクライナ、朝鮮半島、日本を一つの流れとしてまとめている。米国と西側の覇権的な軍事行動が中東、欧州、アジア太平洋で同時に出現しているという認識であり、UFS、ロシア、日本、ロシアへの追加派兵は互いに異なる事案のようにみえても、朝鮮の戦略認識の下では結びついているということが、はっきりと示されている」と語った。

 談話は、「多極世界の建設を主導する核保有大国かつ戦略国家として、米国と同等な立場で交渉に臨む」という意志を示している。北朝鮮は脱冷戦以降、米国中心の一極秩序を批判し、多極化の流れを強調してきた。最近では多極世界の建設を主導していくという意志を示している。北朝鮮は今年2月に開催された労働党第9回党大会で「公平で正義に則った多極世界の建設がさらに推進されるだろう」として、「まさにその中心に我が国が立っている」という対外戦略を明らかにしている。

韓国海軍は「2026年乙支フリーダムシールド(UFS)」演習の一環として今月20日、慶尚北道鬱陵島の沙洞港付近で、旅客船ターミナルと旅客船に対するテロを想定し、官民警軍の対テロ訓練を実施したことを21日に発表した=海軍提供//ハンギョレ新聞社

 米国スティムソンセンターのレイチェル・ミニョン・リー上級研究員は、20日(現地時間)の北朝鮮専門メディア「38ノース」への寄稿「朝米関係の行方」で、「キム・ヨジョンの『談話』で目につくのは、中東から始まり欧州、ロシア・ウクライナ戦争、日本、韓米合同演習について述べてから、朝米関係で締めくくるという、幅広い枠組みを提示したこと」だとして、「米国と北朝鮮の関係をより広い戦略的文脈に置くことで、米国との関係をより大きな地域的、およびグローバルな戦略的競争の一要素とみているということ」だと分析した。

 続けて「これはトランプと再会する意向が金正恩にあるかどうかにとどまらず、より根本的な問いを投げかけている」として、「米国との関係改善がもはや北朝鮮に(2018年、2019年の朝米首脳会談のように)同じ戦略的価値を与えてくれないのなら、再度のトランプ-金正恩外交が目指す目的と可能な範囲はかなり狭まりうる」と述べた。問題は、単にトランプ大統領と金正恩委員長が交渉のテーブルに戻れるかどうかではなく、2人が依然として交渉のテーブルに戻ることを意味あるものにするのに十分な共通点があるかどうかだ、との指摘だ。

 キム・ヨジョン談話は、トランプ大統領の1期目時代よりも広い戦略的枠組みの中で米国にアプローチする考えを強く示している。米国の反応を促しつつ、ボールを米国に投じた格好だ。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/polibar/1274018.html韓国語原文入力:2026-08-21 14:22
訳D.K

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