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政権強化と経済崩壊をもたらした戦争…「テヘラン市民は疲れ果てた」【インタビュー】

登録:2026-07-03 06:22 修正:2026-07-03 08:22
6月30日(現地時間)、イランのテヘランで、反米宣伝壁画の前をヒジャブを着用していない若い女性たちが歩いている/WANA・ロイター・聯合ニュース

 先月20日、イランのテヘラン大学に留学中の韓国人大学院生、チョン・シフンさん(31)が101日ぶりにイランに戻った際、真っ先に目に飛び込んできたのは、午前3時にもかかわらず、人で賑わう空港の様子だった。戦争期間中に旅に出られなかった人々と、米国との終戦覚書(MOU)合意により再びイランに戻ろうとする人々で、テヘランのイマーム・ホメイニ空港は埋め尽くされていた。チョンさんは「本当につい先日まで戦争をしていた国なのか、疑ってしまうほどだった」と、29日に行われたハンギョレ紙との電話取材で語った。

 米国・イスラエルとイランの戦争が勃発してから10日余りが経過した3月12日にイランを出国したチョンさんは、博士号取得の手続きを完了するため、韓国外務省から例外的なパスポート使用許可を得てイランに戻った。チョンさんが空港からテヘランの自宅に帰る道や通学路にも、破壊された建物といった戦争の痕跡はほとんど見られなかった。戦争で閑散としていた道路は再び車で渋滞し、7路線に及ぶテヘランの地下鉄は乗客で満員になって運行されていた。戦争中、道路の至る所で市民を検問していた兵士や軍用車両も、もはや見当たらなかった。街中には、政府が掲示した反米・反イスラエルの宣伝物が、戦争前より格段に増えていた。

 ところが、一歩中に足を踏み入れてみると、イランの経済難と政府に対する深刻な不満が露わになっていた。戦争の影響を実感させたのは、店や飲食店の価格表だった。生活必需品の価格は、イランを離れてから100日で1.5倍ほど上昇した。カフェでの飲み物の価格は、韓国と大きく変わらない水準だった。チョンさんは「少しまともな飲食店は、1人あたり1万〜2万ウォン(約1050〜2100円)台まで値上がりしていた。1カ月の給料が30万〜50万ウォン(約31000~52000円)である普通のイラン市民にとっては、非常に負担の大きい水準」だと語った。現在のイランリアルの相場は1ドル=170万リアルで、リアル安が進み反政府デモが起きた昨年12月の1ドル=140万リアルより20%ほど値下がりしている。

6月20日、イランのテヘランに戻ったチョン・シフンさんが路上で撮影したイランの宣伝物には、「トランプとネタニヤフはザッハークのように、戦争によって憎悪と不正の象徴となった。新時代の捕食者たち」と書かれていた=チョン・シフンさん提供//ハンギョレ新聞社

 チョンさんが会ったあるイラン市民は「疲れ果てた」と語った。戦争期間中、昼夜を問わず聞こえてくる空爆の爆発音に苦しめられていたイラン市民たちは、一刻も早く戦争の記憶を振り払うことを願っていると、チョンさんは説明した。戦争の危機を乗り越えてさらに強固になった政権を目の当たりにし、政権の変化や交代を望んでいた市民たちは無気力になっているようだった。命を懸けてデモを行うほど怒りがわき出す様子はみられなかった。

 イラン政府は国民に期待感を抱かせようと必死だった。米国と結んだ終戦覚書に基づき、西側諸国の制裁が解除され、国外で凍結されていた資金240億ドル(約3兆8670万円)を取り戻し、3000億ドルに達する復興支援金まで受け取れば、経済が飛躍するという期待を植え付けようとした。チョンさんは「イランに資金が入ってきても、それがどこへ流れるか分からないため、一部の市民は半信半疑のようだ」とし、「これまで政府を支持していなかった人々は、戦争が終わっても考えが大きく変わったようには見えない」と伝えた。

 海外メディアも、一部の制裁緩和があっても生活の改善は期待できないという住民の反応を伝えた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は29日、石油制裁の解除などにより新たに流入する資金が、政権や域内の代理勢力を強化するために使われ、国民にはほとんど恩恵が及ばないだろうという一部のイラン住民の懸念について報じた。イランのイスファハンに住むある自営業の技術者は、「我々は戦争そのものよりも、政権の存続をより恐れている」と同紙に語った。

6月29日(現地時間)、イランのテヘランに掲げられた大型の横断幕の前を、ヒジャブを着用していない女性が歩いている。横断幕には、米国・イスラエルの攻撃により2月28日に殺害されたハメネイ師(左)が、2020年に米軍の空爆で死亡したコッズ部隊のソレイマニ司令官の頭に口づけをする姿が描かれている/AP・聯合ニュース

 ハンギョレとの書面インタビューに応じたイランの親政府派の住民たちは、米国に対する怒りをあらわにした。イランのある高校で数学を教えているAさん(26・女性)は、「いつか一度は米国と正面からぶつからなければならないと思っていたので、戦争中も不安ではなかった」とし、「イランのイスラム共和国政府は、いかなる譲歩もせず、自らの力だけで領土を守り抜いた唯一の政府だ」と語った。Aさんは「政府は戦争を引き起こした米国に反撃を加え、家族を失った遺族たちを慰めた」とし、「戦争前は米国に対して特別な感情はなかったが、今は心から憎んでいる」と話した。終戦合意については、「これまで約束を裏切ってきた米国の長い歴史を考えると、非常に心配だ」とし、戦争再発の可能性を懸念した。Aさんは今後イランが進むべき方向について、「国家システム内での腐敗や仕事の一方的な割り当てといった特恵がなくなり、起業家が安心して事業を営むことができて、外国からの圧力のない平和な社会になることを願っている」と語った。

 イラン第2の都市、マシュハドに住む25歳の専業主婦である女性は「物価は金やドルの値上がりよりもはるかに大きく急騰した。国民を再び怒らせ、暴動を誘発しようとする内部の裏切り者たちの陰謀かもしれない」と疑念を示した。最も望んでいることを尋ねられると、「内部の裏切り者が消え去り、イランが享受すべき本来の地位と栄光ある立場に立つこと」だと答えた。

キム・ジフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/arabafrica/1266329.html韓国語原文入力:2026-07-02 07:11
訳H.J

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