米国が23日(現地時間)に発表した「2026年国家防衛戦略(NDS)」では、韓国の朝鮮半島防衛責任の拡大と米軍の中国けん制が強調されていることから、在韓米軍の性格が変質するとともに、戦時作戦統制権(戦作権)の返還が早まることが予想される。
米国防総省はNDSで「(韓国が)北朝鮮抑止の一次的責任を負い、米国は決定的だが限定的な支援を提供すべきだ」と明示した。今後は北朝鮮の核の脅威に対応する米国の拡大抑止は維持するだろうが、北朝鮮軍の通常兵器による脅威は韓国が自ら責任を負うべきだということだ。
現在の韓国軍と在韓米軍の指揮構造では、朝鮮半島の通常戦力による全面戦争に対応する主体が戦作権を行使することになっている。現在、全面戦争への対応は韓米連合軍司令部が担っているため、在韓米軍司令官(大将)が兼任する韓米連合軍司令官に戦作権がある。将来、戦作権が返還されれば、韓国軍大将が担う未来連合司令官(創設予定)がこれを行使することになる。
今回の米国のNDSに通常兵器による脅威に対する韓国軍の主導的役割が明示されたことで、李在明(イ・ジェミョン)政権が任期内(2030年)の実現を目標に積極的に推進している戦作権返還にも弾みがつく見通しだ。韓米は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権と李明博(イ・ミョンバク)政権の時代に具体的な戦作権の返還時期を確定したが、朴槿恵(パク・クネ)政権は2014年に合意内容を「安定的な戦作権移管(返還)に合致する朝鮮半島および域内の安全保障環境」などの3つの条件が満たされれば戦作権返還を実行すると修正した。戦作権返還の方式が「時期」ベースから「条件」ベースへと変更されたのだ。
李在明大統領が24日に「不安定な国際情勢の中で自主国防は基本中の基本」だと述べて、韓国の責任を強調した米国のNDSに呼応したのは、今後の戦作権返還議論の過程で主導権を握るとともに、韓国の自律性の拡大に焦点を合わせるとの考えを強調したものとみられる。
米国のNDSで韓国の責任拡大が示されたことは、在韓米軍の性格の変化、規模の調整につながりうる。在韓米軍は現在、主に北朝鮮の脅威に備える「朝鮮半島張り付き軍」で構成されている。公式に2万8500人の規模を有する在韓米軍は、陸軍1万8千人、空軍8千人などからなり、海軍と海兵隊は戦闘兵力は存在せず参謀のみがいる。海軍空母戦団、海兵師団などで編成された戦略機動軍である在日米軍とは異なって陸軍が中心であるため、現在の在韓米軍の兵力編成、兵器、装備では台湾海峡危機への対応や中国けん制は難しい。
在韓米陸軍には1個機甲旅団、1個航空旅団、1個多連装ロケット旅団があり、在韓米空軍は京畿道の烏山(オサン)基地などにF-16戦闘機70機あまりなどを保有する。陸軍の戦車、自走砲、装甲車、ヘリコプターは常時固定配備戦力であるため、朝鮮半島を離れて作戦を展開するのは難しい。空軍のF-16戦闘機は作戦半径の小さい戦術航空機であるため、台湾まで出向いて作戦を展開するのは難しい。
今後、韓国が北朝鮮抑止の一次的責任を負うことになれば、在韓米軍が朝鮮半島張り付き軍である必要はなくなる。米国の思惑通りにアジア太平洋地域の米軍を中国けん制に集中させるため、在韓米軍の陸軍の比率を縮小して海軍、空軍の能力を高めようとする可能性がある。その過程で在韓米軍の規模、部隊編成、兵器や装備が変更されることもありうる。米国が全羅北道群山(クンサン)、京畿道平沢(ピョンテク)などの在韓米軍基地を中国けん制の前進基地とすると、台湾海峡有事の際、韓国が米国と中国の対決の真っただ中にたたき込まれる恐れがある。このような最悪の状況を避けることが、今後の韓国の外交安保の課題として浮上する可能性がある。
北韓大学院大学のキム・ドンヨプ教授は「米国の分担型安保体系への再編過程でなされる戦作権返還などの危機管理と平和設計において、韓国の戦略的自律性の拡大を求めていくべきだ」と述べた。