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「中国の安定」を揺さぶる不安【寄稿】

登録:2026-01-26 03:43 修正:2026-01-26 10:17
中国国旗/ロイター・聯合ニュース

 一見すると無関係にみえる二つの事件は、微妙に結びついている。一つは、イランの複数の都市で内部経済の危機が続き、自国通貨の価値が大幅に下落したことで、大規模な抗議デモが発生したことだ。もう一つは、世界が2026年の新年を祝っているときに、中国の主要都市が相次いで花火を中止し、大規模な集会を制限したことだ。その原因は、中国経済が数年間にわたり減速圧力を受け、社会の不満が増加しているのに加え、人出が集中するイベントが当局の敏感な神経を刺激したためだ。イランの社会的抵抗を背景に、中国共産党は「予防的安定維持」措置を取り、新年のイベントを中止したわけだ。これらは、中国社会が一見すると安定しているとはいえ、中国共産党が不安を感じている要因が依然として存在することを意味する。これについて、以下の見解を提示する。

 まず、最近の中国における抗議活動の事例はほとんどが経済の減速と関係している。不動産危機が最も大きな要因を占める。多くの建設プロジェクトが停止し、労働者たちが賃金未払い問題で抗議する事例が発生し続けている。住宅所有者も損害をこうむっている。このような摩擦の多くは利害をめぐる紛争だが、中国では「安定がすべてに優先する」という論理に従い、政府が介入するケースが多い。その結果、政府が抗議の対象になることもある。

 二つ目に、2025年以降、世界各地で青年たちによる抗議活動が拡大している。その原因として、権威主義的な統治に対する反対、腐敗や不公正、政府政策に対する抗議などが挙げられる。この波は「Z世代デモ」と呼ばれており、数カ国では政府首脳の交代まで招いた。中国でも、青年の失業が社会の主要問題として浮上している。中国国家統計局の資料によると、昨年12月の青年失業率は16.5%だった。多くの若者が無職状態に陥り、高学歴の人材でさえ卒業と同時に失業に直面する。「爛尾娃(ランウェイワー)」(景気低迷と失業増加により独立できない青年)という用語の登場は、青年世代の未来に対する悲観的な展望を反映している。また、コロナ禍後期に発生した「白紙運動」や、河南省鄭州市の大学生たちによる集団での「夜間自転車デモ」などは、いずれも青年たちの集団行動の威力を示し、中国共産党が青年問題にいっそう敏感に反応する要因となった。

 このように中国でも社会的抵抗は存在するが、デモの政治的役割を過大評価してはならない。デモのテーマはほとんどが「お金」に関連した問題であり、社会抗争の「政治性」は制限されている。しかも、中国当局の強力な統制下での現時点のデモは、「低組織化・脱中心化」の特徴を示す。したがって、個別の地域と議題を超えた「社会運動」の出現は難しい。中国の緻密な治安維持の枠組みのもとでは、中国で発生するデモは、社会運動というよりも「騒乱」に近い。

 最後に、中国共産党は、習近平国家主席が政権を握った直後に「国家安全委員会」を設立し、国家の安全に関する多くの法律を整備した。また、「第20回党大会」での政治報告や今回の「第15次5カ年計画」の提案でも、社会の安定の問題を国家安全保障のレベルにまで引き上げた。しかし、現在の中国共産党の安定維持体制が機能するためには、きわめて大きなコストを要する。中央と地方の治安維持予算が大幅に増加し、地方政府の借金も積み上がり続けているため、治安維持措置の負担が次第に困難になりつつある。

 中国社会の「安定しているが不安な」状態を総合すると、「不安」の要素は徐々に増えている。当局の強力な治安維持の基本方針のもとでは、「安定」は依然として主流だが、経済低迷の傾向は変わらないため、所得・失業問題は続く。これに地方財政の問題まで加わった。このような現象は、現在の中国の発展を観察するうえで、決して見過ごしてはならない側面だ。

//ハンギョレ新聞社

王信賢|台湾国立政治大学国際関係研究センター所長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1241526.html韓国語原文入力:2026-01-25 19:08
訳M.S

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