米財務省外国資産管理室(OFAC)が4日(現地時間)、サイバー犯罪をはじめとする不法活動で得た資金をマネーロンダリングした疑いで、北朝鮮国籍の8人と2団体を制裁対象に加えたと発表した。
米財務省のジョン・ケイ・ハーレー次官は「北朝鮮の支援を受けるハッカーたちが北朝鮮政権の核兵器プログラムの資金を調達するため、金を奪取しマネーロンダリングを行っている」とし、「彼らは北朝鮮の兵器開発のための収益を創出することで、米国と世界の安全保障を脅かしている。財務省は北朝鮮の不法資金の流れを断ち切るため、このような計画の背後にある勢力を追跡し続ける」と述べた。米国は北朝鮮政府が組織的に仮装通貨の奪取とランサムウェア攻撃などを指示しており、従来の制裁網を潜り抜けてサイバー犯罪で得た収益金を北朝鮮に持ち込んでいるものと疑っている。今回の制裁対象になった「万景台コンピュータ技術会社」は北朝鮮にある人材派遣会社であるにもかかわらず、中国国籍者を代表にしてマネーロンダリングを行った事実が確認され、会社と代表が制裁リストに加えられた。共に制裁対象になった北朝鮮の金融機関「リュジョン信用銀行」は北朝鮮の外貨収入の送金、派遣労働者のための金融取引などに関わったという疑いが持たれている。財務省はこの3年間、北朝鮮は仮想通貨の奪取などの犯罪活動を通じて30億ドル(約4620億円)以上を奪ったと主張した。
米財務省は「北朝鮮の大量破壊兵器および弾道ミサイルプログラムの支援とそのための制裁回避行為は多数の国連安保理決議に違反する」としたうえで、「サイバー犯罪、仮想通貨の窃盗、不法な海外での情報技術(IT)作業などを通じた資金調達は、国際デジタル経済と安全保障に深刻な脅威となっている」と糾弾した。今回の措置によって制裁対象の個人および団体が米国内に保有しているすべての資産は凍結され、米国人または米国内の金融機関は彼らとの取引が禁止される。また、該当の制裁対象が50%以上の持分を保有している団体も自動的に制裁対象になる。
今回の米政府の対北朝鮮追加制裁は、ドナルド・トランプ大統領の訪韓期間中に朝米首脳会談を行おうとしたが失敗した後、相次いで発表された点で注目を集めている。北朝鮮に圧力を加えることで、対話の場に導くためではないかという見方もある。米政府は前日(3日)にも、国連安保理の対北朝鮮制裁決議に違反し北朝鮮産の石炭・鉄鉱石の中国向け輸出に関与した第3国の船舶7隻に対し、米国務省が国連制裁対象に指定することを推進すると発表した。