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「ロシアは韓国の新たな成長エンジンを探すのに重要な協力相手」

登録:2025-09-22 09:10 修正:2025-09-22 10:21
パク・チョンホ対外経済政策研究院ロシア・ユーラシアチーム長がハンギョレのインタビューに応じている=イ・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

 「結局、会ってみないと『答え』が見つかりません。今回改めて気づかされました」

 2022年2月のロシライナの戦争勃発後、初めて韓ロ国策研究機関の対面セミナーを企画して実現させたパク・チョンホ対外経済政策研究院(KIEP)ロシア・ユーラシアチーム長の感想だ。

 パク氏が凍りついた韓ロ関係改善に「呼び水」を向けるために「これから会って話をしてみよう」と提案したが、ロシア側から「会おう」と返事が来たのはそれから1カ月後だった。パク氏の東奔西走を動力に、15~16日にウラジオストクのロッテホテルで開かれた第15回対面セミナーで、ロシアの「極東経済研究院」(ERI)のアルチョム・イサエフ院長は「ロシア外交部と極東科学アカデミーの承認を受けた」と明らかにした。今回の会合の成功の背後にロシア政府があるという意味だ。同時に、「長い沈黙」の時間にパク氏の「挑戦的提案」を現実にするため極東経済研究院側も奔走したことを遠まわしに表現したものでもあった。アルチョム院長は「中断された対話を再開することができて非常に嬉しい」とし、「韓国側の対話の提案は肯定的なシグナルであり、待ち望んでいたこと」だと語った。

 2006年から2019年まで毎年1回ずつ、韓国とロシアを行き来しながら14回進行した共同セミナーを通じて積み上げてきた「信頼関係」が、土台の役割を果たしたことはもちろんだ。今回のセミナーは、ロシアとウクライナ戦争前の新型コロナウイルス感染症の大流行による断絶時期まで含めれば、6年ぶりの対面対話だ。

 両側が共感した「対面セミナー」を現実化する過程は険しかった。共通議題を決めることも容易ではなかったが、会う場所を決めることが困難を極めた。パク氏は「セミナーを準備しながら、あまりにも大変すぎて『なぜ会おうと提案したのだろう』と後悔したことも一度や二度ではありません」と語った。しかし「(ドアを)ノックして会ってみると、ロシア側には(韓国との関係改善の)意志がありました。特に極東側の人々は」とし、「結局は会ってみないと、答えが見つかりません」と明るく笑った。

 両機関の会った場所がロシア極東の代表都市であるウラジオストクであることが、韓ロ関係の現住所を示している。両国の国策研究機関の専門家たちが一堂に会するためには、韓国の人員が極東経済研究院のあるハバロフスクに行くか、ロシアの人員が韓国に来なければならない。ところが、どちらにしても行くだけで「2泊3日」はかかる。仁川(インチョン)からハバロフスクへの移動は直行便があれば2時間30分で十分だ。だが、ロシアとウクライナの戦争勃発直後、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が対ロ制裁の一環として韓国とロシアの直航便を閉鎖し、今は「仁川~北京~モスクワ~ハバロフスク」区間を飛行機を2回乗り換えて移動しなければならない。 とてつもない時間と費用がかかる。そのため、韓国から丸一日かかり、ハバロフスクから850キロ離れたウラジオストクで妥結した。窮余の策だ。

 パク氏は「李在明(イ・ジェミョン)政権は、韓国ーロシアの直航便の復元にもっと積極的に取り組む必要があります」と繰り返し強調した。「極東には高麗人(カレイスキー。朝鮮半島からロシアに移住しソ連時代に中央アジアに強制移住させられた人々)が6万人余り住んでいますが、彼らの若い家族は韓国にいることが多い。直航便は高麗人家族にとっては人道主義事案でもある」と付け加えた。

 1967年生まれで定年を数年後に控えたパク氏の20才以降の履歴は、「100%ロシア関連」だ。大学と大学院で「ロシア(政治)」を学び、1996〜2002年の間にロシア外交部傘下の「モスクワ国立国際関係大学」で学び博士号を取得した。帰国後は、韓国外国語大学ロシア研究所を経て、2015年から11年間にわたり対外経済政策研究院でロシアと韓ロ関係を研究している。

 「なぜロシアを専門領域にしたのか」と尋ねると、このような返事が返ってきた。 「ソ連(現ロシア)がどんな国なのか知りたかったんです。米国ほど大きい国なのに、韓国社会の関心が低いんですよ」

 韓国にとってロシアはどんな存在なのか聞いた。パク氏は「韓ロは北東アジア国家の中で、珍しく構造的・歴史的に対立と競争よりも関係改善で利害が一致するウィンウィン関係」だと語った。また「何よりもロシアは、下り坂の韓国の成長エンジンを新たに強化するのに欠かせないパートナー」だと繰り返し強調した。「ロシアは革新国家です。人類史における『初』がとても多い。社会主義の実験、無人・有人の人工衛星、パソコンなどを、全てロシアが初めて実現しました。ロシアは資源が豊富で、基礎科学が非常に強く、宇宙航空技術は世界最高水準。韓国初の宇宙発射体である羅老(ナロ)号の成功もロシアの助けが大きかった。ところが、ロシアは民間経済を支える製造業の基盤は脆弱です」

 韓国の強力な製造業の力、人工知能・宇宙航空を含むロシアの強力な基礎科学の力を結合すれば、韓ロの両方にとって望ましい結果を産むことができるとパク氏が強調したのもそのためだ。韓国が足りないエネルギー資源を安定的に確保し、ユーラシアと陸路でつながる道を開いて、事実上の「島国」から抜け出す交通物流の協力相手としても、ロシアは非常に重要だと強調した。

 パク氏は、今回のセミナーでロシア側の参加者たちがロシア極東地域を舞台にした南北ロ三者協力の可能性を打診したことにも注目した。 南北対話の断絶と朝ロ同盟の復元という韓国に不利な対決的情勢の流れを、「協力」へと方向を変える過程で、韓ロが協力する余地があるという意味だからだ。

 パク氏の提案・企画をもとに、10月22~23日には釜山市海雲台(プサンシ・ヘウンデ)で対外経済政策研究院とロシアの「世界経済および国際関係研究所」(IMEMO)が「北極航路」をテーマにした国際セミナーを共に開く。韓ロ関係改善を探索の試みが続くということだ。

 パク氏は「私はホタル」という歌が好きだと言い、自らを「ホタル」に例えた。輝く星ではないが、暗くて長いトンネルの先をあらかじめ知らせる「微弱だが、本当に嬉しい光」を放つ、ホタルのことだ。

ウラジオストク/イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1219501.html韓国語原文入力:2025-09-18 20:15
訳H.J

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