野生のチンパンジーが発酵した果物を食べることで、1日にビール1杯分のアルコールを摂取するという研究結果が出た。
英紙ガーディアンなどは17日(現地時間)、米カリフォルニア大学バークレー校の研究チームがアフリカに生息する野生のチンパンジーの群れが食べる果物のエタノール数値を測定し、一日のアルコール摂取量を推定した結果、その量が14グラムに達したと報道した。これはビール1杯の半分、ワイン1杯に相当する量で、人間とチンパンジーの体重の差を考えると、チンパンジーが毎日ビール1杯を飲んでいることになる。今回の研究結果は、国際学術誌「サイエンス・アドバンシス」に掲載された。
これまでチンパンジーを含む霊長類が熟した果物・野菜を通じてアルコールを摂取しているという事実はさまざまな研究で明らかになっていた。このために人間が酒を好む理由が数百万年前の類人猿の先祖の時から続いた進化の産物だという「酔っぱらったサル」の仮説も提示された。ただし、野生の類人猿のアルコール(エタノール)摂取量が計算されたことはなく、今回の研究は実際チンパンジーが食べる果物を採取してこれを推定したものだ。
研究チームは2019年からウガンダのキバレ国立公園に生息するヒガシチンパンジーの共同体と、コートジボワールのタイ国立公園の二シチンパンジーの群れの餌を調査した。まず、カメラを設置してチンパンジーがどんな果物を食べるのか確認した後、彼らが主に餌を採集した木の下に落ちた実をサンプルで拾って集めた。観察の結果、ヒガシチンパンジーは熟したイチジクの実を好んだが、二シチンパンジーはギニアプラムとビターバークの木の実を最もよく食べていた。
このように現場で採取した21種の実のアルコール含量は平均0.26%で、各群れが好きな餌を反映すれば、ヒガシチンパンジーは果物から0.32%、二シチンパンジーは0.31%のアルコールを摂取していた。論文の責任著者であるロバート・ダドリー教授は、同大学の報道資料で「一見アルコール度数は高くないように思えるかもしれないが、チンパンジーが毎日体重の5~10%に該当する果物を餌として摂取するという点を考えると、累積されたアルコール量はかなり多くなる」と説明した。このように二つのチンパンジーの群れが果物を通じて得るアルコール摂取量は平均14gに達すると推定された。
これはアルコール濃度が5%のビール1杯の半分程度の量だ。アレッセイ・マロ研究員(カリフォルニア大学統合生物学科修士課程)は「チンパンジーの平均体重が40キログラムであり、人間の体重が平均70キログラムである点を考えると、チンパンジーが一日にビール一杯を飲んでいるとみることができる」と述べた。マロ研究員は「今回の研究結果は私たちの祖先もチンパンジーと同じように日常的に食餌性アルコールに接種していた可能性を示唆する」とし、「このような『酔っぱらったサル』仮説は現代の人々がアルコールに惹かれる理由を説明してくれる」と科学雑誌「ニューサイエンティスト」に伝えた。
ダドリー教授は、20年余り前に自身の著書『酔っぱらったサル(原題)』(2014年)でこの仮説を初めて主張した。当時は懐疑的な見解が多かったが、これを後押しする追加事例が登場し、次第にその信ぴょう性が増している。2016年、米国ダートマス大学の研究チームが飼育中のアイアイとスローロリスにアルコールの含まれた花蜜を提供した時、サルたちはアルコール含量が高い花蜜を好む姿を見せた。6月には哺乳類だけでなく鳥類も果物と花蜜を摂取し、日常的にアルコールを摂取するという研究結果も出た。