祖国革新党のチョ・グク前代表の赦免と復権が近づいているという観測が流れていることで、与党陣営の政治的計算も慌ただしくなっている。祖国革新党はチョ前代表の復帰を慌てることなく準備中だが、来年の地方選挙で湖南(ホナム=全羅道)を舞台に革新党と競争することになるかもしれない共に民主党の一部からは警戒心も感じられる。与党陣営の潜在的な大統領候補とされる有力政治家の帰還となるだけに、チョ前代表の赦免と復権は与党陣営の権力地形にとって重大な変数として作用する可能性が高い。
チョ前代表は自身の子どもの入試不正を共謀した疑い、大統領府の監察をもみ消した疑いなどで昨年12月12日に懲役2年が確定し、ソウル南部刑務所などで服役して8カ月になる。チョ前代表の赦免・復権が実現すれば、同氏は当面、控えめに行動し、臨時あるいは定期の党大会で代表に復帰するという見方が有力だ。
革新党に所属するある議員は、「各界各層を訪ねて国民世論を集約し、代表に復帰すべきという党員の声が高まるころ、遅くとも2~3カ月以内には党代表に復帰するのではないか」とし、「来年6月の地方選挙を陣頭指揮するには、復帰時期があまり遅くなってはならない」と述べた。
来年の地方選挙でのソウルあるいは釜山(プサン)の市長選への出馬の可能性も取り沙汰されているが、同時期に行われる国会議員再・補欠選挙に出馬して国会入りを試みる可能性もある。革新党の主要関係者は、「自治体首長として縛られてしまうと、ひとまず党代表として党務ができない。政治経験が短いという指摘があるだけに中央政治に打って出るべきで、あえて地方選挙に出馬する理由はない」と語った。現在、補欠選挙が確定している選挙区は、李在明(イ・ジェミョン)大統領の選挙区である仁川桂陽(インチョン・ケヤン)乙、カン・フンシク大統領秘書室長の忠清南道牙山(アサン)乙。
出馬するかどうかとは関係なしに、来年6月の地方選挙は、チョ前代表の政治力が検証される初の舞台となる可能性が高い。嶺南(ヨンナム=慶尚道)と首都圏では野党「国民の力」に対抗して民主党と連帯するとしても、与党陣営の支持が圧倒的な湖南では独自候補を立てて政治的橋頭堡を確保すべきだ、という党内の要求が強いからだ。湖南のある民主党の当選1回議員は、「チョ前代表が狙う地域は結局のところ湖南のはず。民主党から公認を受けるのは難しいが、地域に基盤のある人々が革新党に持っていかれてしまうと、破壊力は相当なものだろう」とし、「地方選挙は地域の複雑な利害関係が多く絡むため、ほとんどが激戦となりうる」と語った。
チョ前代表が国会議員再・補欠選挙に出馬すれば、候補一本化が重大な変数になりうる。チョ前代表と民主党候補が同時に立つと、国民の力が漁夫の利を得る可能性があるからだ。その場合、民主党と革新党の一本化をめぐる「駆け引き」が長期化し、両党の協力に亀裂が生じる可能性もある。
ただし民主党内には、チョ前代表の赦免・復権を革新党との統合に向けた地ならしだと解釈する見方もある。ある当選1回議員は「革新党の中でも、チョ前代表の無念を晴らしたのだから、あえて別の道を行く必要はないのではないかと言われている」と語った。もちろん、革新党はその可能性を一蹴している。ある革新党の議員は「第三党が入り込む空間を見出すのが難しいのが韓国政治の現実だが、当選可能な有力な大統領候補の復帰こそ、第三党としてしっかりと足場を確保する機会」だと述べた。革新党の別の議員は「統合論は民主党内から出てきている一方的な主張に過ぎず、事前に議論されたり検討されたりしたものは一つもない」と語った。