尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領夫人のキム・ゴンヒ女史関連の疑惑を捜査するミン・ジュンギ特別検察官(特検)チームが易占術師の「コンジン法師」ことチョン・ソンベ氏の請託疑惑をめぐり、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の本部を家宅捜索したことに対し、旧統一教会の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁(82)が「特検が天を冒涜した」と発言したと伝えられた。
21日のJTBCの報道によると、20日に京畿道加平郡(カピョングン)の旧統一教会の天苑宮で開かれたイベントで、韓総裁は約1000人の信者の前で、特検について次のように述べた。
「一人の裏切りによって、わが国の特検が天を冒涜した。特検は公開の場で過ちを認めなければならない。真の父母をあまりにも軽く考えている」
韓総裁が言及した「真の父母」は、韓総裁の夫である旧統一教会の故・文鮮明(ムン・ソンミョン)前総裁と自分自身を意味する。韓総裁は、旧統一教会の創始者である文前総裁が2012年に死亡した後、総裁を引き継いでいる。また、「一人」は、旧統一教会のY前世界本部長を指しているとみられる。旧統一教会側は、特検が捜査しているロビー疑惑については「韓鶴子総裁は知らず、Y前本部長が個人で行ったこと」だとして、一線を引いている。
しかし、特検は教団レベルで行われたものと判断し、捜査を拡大している。特検は、コンジン法師ことチョン氏が2022年にY前本部長から、旧統一教会によるカンボジアのメコン川開発事業への支援▽大統領就任式への招待▽YTN買収などの懸案に対する請託とあわせて、6000万ウォン(約640万円)相当のグラフのダイヤモンドのネックレスやシャネルのバッグなどを受け取り、キム女史に渡したとみて、18日に家宅捜索を実施した。家宅捜索の対象には、旧統一教会の天正宮とソウル市龍山区(ヨンサング)にある韓国本部の建物、Y前世界本部長の自宅などが含まれた。
特検はさらに、旧統一教会と「尹核関」(尹錫悦前大統領の核心関係者)との関係も調査している。特検チームは、Y前本部長とチョン氏が2022年11月、野党「国民の力」の全党大会を控えて、「尹錫悦前大統領の意向は今も変わらずクォン(・ソンドン)」というメッセージを交わしたことを確認した。さらに、Y前本部長が尹前大統領の側近の助けを得て、旧統一教会幹部による遠征賭博疑惑事件をもみ消した疑惑なども捜査中だ。特検は同日、「国民の力」のクォン・ソンドン議員の汝矣島(ヨイド)にある議員会館と選挙区事務所、自宅に対しても家宅捜索を行った。