李在明(イ・ジェミョン)大統領が17日、「韓国の憲法も変化した現実に合うように新たに整備し、整えるべき時」だとして、「国民の代表である国会に、『国民中心改憲』の道のりに力強く取り組んでくださることを期待する」と語った。大統領就任後初めて改憲に自ら言及することで、その必要性と意志を再確認したのだ。国会での真剣な議論へとつながることを願う。
李大統領が制憲節(大韓民国憲法公布記念日)に際してフェイスブックで述べたことは、改憲を本気の議題として提案しつつ、その推進のあり方と内容に関して大綱の構想まで提示したという点で意味がある。李大統領は、自らが具体的な改憲案を示すよりも、国会が主導して国民の望む改憲を推進することを願うとの考えを表明した。改憲内容についても李大統領は、「5・18民主化運動」の憲法前文への記載▽国民の基本権の強化▽自治分権の拡大▽権力機関改革を示し、それらを「今この時代が要求する憲法の姿」だと述べた。李大統領は大統領選挙で、大統領の4年任期再選制、監査院の国会への移管、検察による令状請求権独占規定の廃止など、統治構造や権力機関の改革をも包括する改憲を公約しているが、17日は大きな方向性に言及するにとどめた。
12・3非常戒厳暴挙は憲法の誤りではなく、憲法を無視した指導者の過ちだった。それでも「内乱事態」を契機として大統領への権力集中を緩和し、協同統治の可能性を高める改憲が必要だというコンセンサスが広がったのは事実だ。少子高齢化、気候変動、AIによる転換など、1987年改憲以降のおよそ40年間の時代の変化を憲法に込めるべきだという要求も高まっている。与野党いずれもが先の大統領選挙で改憲を公約した理由はここにある。
改憲は、政権序盤には大統領が敬遠し、後半には野党の反対で失敗に終わる、ということを繰り返してきた。今回は大統領が任期の初期から改憲の意志を表明しているだけに、議論の扉を開く条件は整っていると考えられる。ウ・ウォンシク国会議長は、今年下半期には国会に憲法改正特別委員会を設置できるだろうと述べ、意志を示した。改憲は、国会の在籍議員の3分の2以上の賛成と国民投票での過半数の同意を必要とする高難度の政治行程だ。与野党が合意すれば、来年6月の地方選挙や2028年の総選挙の際に改憲の国民投票を実施することも可能だろう。一度にすべてを修正できないなら、合意できる部分から修正していくのもよい方法だ。重要なのは、改憲を口だけで叫ぶのではなく、与野党が国民の思いを集めて実現に向けて膝を突き合わせることだ。