特殊公務執行妨害および職権乱用の疑いで再拘束された尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領は、拘束決定は不当だとして拘束適否審を請求していたが、裁判所は請求を棄却した。尹前大統領の拘束が維持されたことで、特検チームによる容疑補強のための捜査にも弾みがつくとみられる。
ソウル中央地裁刑事控訴9-2部(リュ・チャンソン裁判長)は18日、「被疑者尋問の結果と同事件の記録によると、同事件の請求は理由がないと認められる」として、尹前大統領の拘束適否審請求を棄却した。
この日午前10時15分から午後4時15分まで非公開で行われた拘束適否審査では、特検チームと尹前大統領の弁護団が拘束の必要性をめぐって激しい攻防を繰り広げた。尹前大統領側は、特検チームが拘束令状に記載した国務会議審議妨害▽事後の戒厳宣布文作成▽外国メディアの代理人に対する虚偽公報指示行為などに関する容疑はすべて、すでに起訴された内乱首謀容疑に含まれるため、同じ容疑での再拘束は不可能だと主張した。裁判所が拘束令状発行の理由としてあげた証拠隠滅の恐れについては、すでに検察、警察、高位公職者犯罪捜査処が大々的な家宅捜索と関係者への事情聴取で主な証拠を確保しているうえ、主な関係者も拘束状態が維持されているため、証拠隠滅の恐れはないと主張した。また弁護団は、尹前大統領の健康状態が思わしくないため、拘束状態の維持は不可能だと強調しつつ、血液検査の結果も裁判所に提出した。尹前大統領も尋問の最後に、拘束の不当性と健康状態の悪化について30分ほど自ら語った。
これに対して検察は、令状に記載された容疑はすべて証明されており、犯罪の重大性、証拠隠滅の恐れなどを考慮すると、拘束状態は絶対に維持されなければならないと主張した。特検チームは、尹前大統領に容疑がかけられている虚偽公文書作成、虚偽公報、盗聴防止機能付き電話のサーバのデータ削除指示などは、それそのものが証拠隠滅行為であり、前大統領であるという地位などを考慮すれば、有利な証言をするよう事件関係者を懐柔したり迫力をかけたりする可能性が高いと主張した。この日の拘束適否審には、特検チームからはパク・オクス特検補、チョ・ジェチョル部長検事ら5人の検事が出席した。尹前大統領側からはペ・ボユン、チェ・ジウ、ソン・ジンホ、ユ・ジョンファ、キム・ゲリの各弁護士が出席した。
尹前大統領の拘束が維持されたことで、特検チームは拘束理由となった特殊公務執行妨害容疑などの捜査と共に、外患疑惑についての捜査も継続する方針だ。