盧武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権の外交部長官らが29日、済州国際コンベンションセンターで開かれた済州フォーラムに参加し、6月3日の第21代大統領選挙で誰が当選しても外交政策の大きな変化はないだろうと予想した。第2次トランプ政権の自国優先主義傾向が強まり、米中対立が激しくなる状況で、従来の秩序に逆らう外交政策を展開するのは難しいだろうという見通しだ。
盧武鉉政権最後の外交部長官だったソン・ミンスン元長官は「トランプ時代の北東アジアの力学:韓国の外交・安全保障戦略の模索」というテーマのセッションで、「(最大野党「共に民主党」の)イ・ジェミョン候補が当選すれば、米国がドナルド・トランプ政権のうちにシンガポール・ハノイ(会談)をリバイバル(再演)して突破口を開きたいという欲求が当然あるだろうが、現実的に北東アジア情勢は韓米日、朝中ロの構図に固まってしまった状態であり、北朝鮮はロシアと協力しているため、非常に緊急な状況ではない」と述べた。さらに、「米国も今、北朝鮮に政治的投資をしていない。そのような状況を踏まえると、イ・ジェミョン候補が当選したとしても、南北関係の打開には慎重にアプローチするしかないだろう」と予測した。
李明博政権出身のキム・ソンファン元長官も似たような意見を示した。「両候補(民主党のイ・ジェミョン、「国民の力」のキム・ムンス)の外交・安全保障政策に大きな違いは見られない」とし、「(国際社会で外交的に)成果をあげるのは容易ではない状況だ。朝鮮半島の状況からして、南北関係の進展は容易ではないだろう」と述べた。また、「北朝鮮の核への執着が以前より強くなったため、北朝鮮だけに核兵器の放棄を求めるのは通用しないだろう」とし、「新しい政権では、格兵器を持った米国、ロシア、中国のような国々にも核軍縮を主張し、北朝鮮もそれについてくるよう誘導するのが効果的だろう」と助言した。北朝鮮だけでなく、核不拡散条約(NPT)体制内で合法的に核を保有している他の国々にも核兵器を減らそうと呼びかけ、北朝鮮の核問題も解決しようという提言だ。
朴槿恵政権出身のユン・ビョンセ元長官は、イ・ジェミョン候補の外交・安全保障について、「(イ候補側に)元外交官たちがかなり多く布陣しており、実用・外交公約を作る際に多く貢献したような印象を受けた」と評価した。駐ロシア大使などを務めたウィ・ソンラク議員、チョ・ヒョン元外交部次官などのことを言及したものとみられる。ユン元長官はまた、「トランプ大統領が言ったように、在韓米軍の戦略的柔軟性を(受け入れ)なければならないなら、イ・ジェミョン候補が当選した場合、中国をより意識する政策志向が保守より強いため、(これについて)さらに考えなければならないだろうし、キム・ムンス候補が当選した場合、中国をどのように管理すべきかをめぐりさらに緊張しなければならないだろう」と語った。