朴槿恵(パク・クネ)大統領就任後の2013年4月18日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)驪州(ヨジュ)支庁長は、国家情報院・国防部世論操作事件の特別捜査チーム長を務めた。10月17日、国情院職員に対する家宅捜索・逮捕状請求を上部に報告しなかったという理由で、捜査チームから排除された。
2013年10月21日の国会法制司法委員会はソウル高等検察庁に対する国政監査を行った。イム・ジョンヒョク・ソウル高等検察庁長、チョ・ヨンゴン・ソウル中央地検長、尹錫悦驪州支庁長などが証人として出席した。
尹錫悦支庁長は、捜査の過程で外部からの強い圧力があったと証言した。チョ・ヨンゴン地検長が「激怒」したと証言した。チョ・ヨンゴン地検長が「野党を助けるつもりなのか。野党がこれを持って政治的に利用するのは必至だ。そんなに(捜査)したいなら、私が辞表を出してからすればよい。そして、この国情院事件の捜査の純粋性がどれほど疑われると思うか」と述べたと証言した。それで「ああ、検事長とともにこの事件を捜査していくのは不可能だという判断を下した」と証言した。
(当時与党の)「セヌリ党」のチョン・ガビュン議員と尹錫悦支庁長はこのような質疑応答を行った。
「非法曹人として、今日、国政監査の場に座っていると、このような大韓民国の検察組織を信じて、国民が安心して暮らせるのか、本当に心配になります。世間のやくざにも劣る組織です。ここにいらっしゃる検事の皆さん、胸に手を当てて、一度考えてみてください。これは一体何というざまですか! まず、尹錫悦支庁長、一度立ち上がってみてください。その場で立ち上がってみてください、マイクを持って。前に呼び出すのも嫌です。証人は組織を愛していますか」
「はい、とても愛しています」
「愛していますか。ひょっとして人に忠誠を尽くしているのではないですか」
「人に忠誠を尽くしていないからこそ、今日もこんなことを申し上げているのです」
「(尹錫悦は)人に忠誠を尽くさない」という神話が誕生した瞬間だった。尹錫悦検事は2016年12月、朴槿恵大統領国政壟断事件の特検捜査チーム長に抜擢された。その勢いでソウル中央地検長、検察総長、大統領までのし上がった。
しかし、尹錫悦大統領は自分の「部下」たちには人に対する盲目的な忠誠を要求した。「内部に向かって銃を突きつけた党代表」のイ・ジュンソクを追い出した。2023年3・8全党大会を控えてキム・ギヒョン代表を作るため、ナ・ギョンウォン候補を辞退に追い込んだ。アン・チョルス候補も押え込んだ
ハン・ドンフン非常対策委員長が(大統領夫人の)キム・ゴンヒという逆鱗に触れると、追い出そうとした。2024年7・23全党大会ではハン・ドンフン代表の当選を阻止しようとしたが、結局失敗した。その後、12・3非常戒厳は、もしかしたら民主党ではなく、ハン・ドンフン代表を狙って決行したものかもしれない。
4月9日、大統領選出馬のために訪れたイ・チョルウ慶尚北道知事に、尹錫悦前大統領は「大統領になれば、人を使う時に最も重要に見るのは忠誠心だということを肝に銘じてほしい」と述べた。結局、自分が作った「人に忠誠を尽くさない」という神話は真っ赤な嘘で、詐欺だったと自白したも同然だ。
4月21日、ソウル地裁で開かれた尹錫悦内乱事件の2回目の公判に証人として出席した首都防衛司令部1警備団長のチョ・ソンヒョン大佐は、このように証言した。
「我が軍はいかなる命令も履行する無知な集団ではない。軍において命令は非常に重要であり、命を捧げて守るべき非常に重要な価値だ。ただし、条件がある。(命令が)必ず正当かつ合法的でなければならない。命令は国民の生命と財産を守り、国家を防衛する陸軍に帰結しなければならない。(12月4日の)その指示がそれに当たるものだったのか」
特殊戦司令部第1特戦大隊長のキム・ヒョンギ中佐はこのように証言した。
「ぜひお伝えしたいことがあります。私は2003年に二等兵として入隊しました。 2004年度に副士官として任官し、2006年に将官になりました。今年43歳です。23年間にわたる軍生活で、過去も今も変わっていないことが一つあります。それは国家と国民を守ることです。私は人に忠誠を尽くしません。私は組織に忠誠を尽くしてきたし、組織は国家と国民を守るという任務を与えました。
抗命だと言う人もいます。私たちの組織は上命下服に基づいて動く組織だからです。私がしたことは抗命に間違いありません。しかし、上級者の命令に下級者が服従することは、国家と国民を守れという固有の任務が与えられた時に限ります。
この23年間、国民に愛され、任務を遂行してきました。なのに、12月4日に指示された任務をどうやって遂行しろというのですか。
いっそのこと、私を抗命罪で処罰してください。そうなれば、部下たちは抗命罪でも内乱罪でもありません。部下たちには何の罪もありません。
その日その場で、部下たちは何もしませんでした。そうしたからこそ、誰も危険にさらされませんでした。そのおかげで民主主義を守ったと思います。
最後に軍が政治的な手段として利用されないよう、特に私の後ろに座っている方々が、必要ならば鋭い叱責と非難を通じて我が軍を監視して下さるようお願いします。そうしてこそ、二度とこのようなことが起こらないでしょう。申し訳ございませんでした」
一句も捨てる内容がない。尹錫悦前大統領は恥を知るべきだ。
実にありがたいことだ。制服を着た市民が民主主義を守った。制服を着た市民が国を救った。私たちには希望がある。