現職の部長判事が裁判所の内部ネットワークへの投稿で、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拘束取り消し決定と検察による即時抗告の放棄を批判した。
釜山(プサン)地方裁判所のキム・ドギュン部長判事は10日、裁判所の内部ネットワーク「コートネット」に「拘束取り消しは遺憾」と題する文章を投稿した。キム部長判事はこの投稿で「今回の決定は、その趣旨にもかかわらず法理的、制度的に多くの問題を抱えている」として、「従来の先例が維持されることが望ましい」と述べている。
■「すべての刑事裁判が拘束日数を再計算すべきなのか」
キム部長判事は、捜査記録が受理されてから返還される日までの「日数」で拘束期間を算定することが期間の計算の原則に合致すると述べている。「検事の拘束期間は10日という『日数』で定められているだけで、240時間とは規定されていない」という指摘だ。
そして「今回の決定の趣旨通りなら、拘束期間を時間単位で計算せずに拘束期間を超過した場合は違法拘禁になるため、一審は公訴棄却判決を言い渡さなければならず、それを見過ごせば控訴審か最高裁は職権でこれを破棄しなければならない」として、「しかし最高裁は現在まで、拘束適否審が請求されたすべての事件に関して、捜査記録が受理された日から返還された日までを拘束期間から除外した従来の実務を肯定している」と指摘している。
また、新たに取り沙汰されている算定方式は、現行の刑事訴訟法の趣旨とも合致しないと指摘している。キム部長判事は「捜査記録が受理された時から返還された時までを拘束期間から除外するとする刑事訴訟法の趣旨は、容疑者の適否審請求権を保障するものの、その請求に理由がないと判断された場合は、妨害された捜査機関の捜査期間を保障するという意味であるはず」と説明している。それを時間単位で計算すると、この趣旨が損なわれると補足している。
キム部長判事は「未決拘禁日数は当然刑期に算入されるため、被告人に実質的不利益が発生するとも考えがたく、あらゆる法制度を運用するにあたって法定の安定性も重大な指導原理であるにもかかわらず、先例をむやみに変えるのは深刻な悪影響を招く」と懸念を表明している。また、捜査記録が検事室で検察の職員に引き渡され、裁判所での受理手続きを経て担当判事に渡される過程などでは、受理印には概略的な時間だけが表記されるので、現実的にもそれを測定する客観的な手続きは存在しない、とも述べている。
キム部長判事は「今回の決定は即時抗告手続きを通じて取り消されなければならず、それによって手続き的混乱が整理されるべきだろう」とし、「だが検察はどういうわけか即時抗告すらしておらず、そのため全国のすべての刑事裁判では、適否審が請求されたすべての事件に関して拘束日数を再計算すべきかに関して大きな混乱が予想される」と述べた。