「私は啓蒙された」
25日に行われた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾審判の最終弁論で最も話題になった発言は、尹大統領の代理人を務めるキム・ゲリ弁護士のものだった。
キム弁護士はこの日、憲法裁判所の大審判廷で行われた弾劾審判に出席し、自らを「14カ月(1歳2カ月)の娘がいる母親」だと紹介した。続いて「(尹大統領の非常戒厳)談話文をゆっくり読んだ。私が妊娠、出産、育児をしていて知らなかった共に民主党の犯した悪事を確認し、子どもと共に過ごす時間を割いてこの事件に飛び込んだ。私は啓蒙された」と述べた。
「戒厳宣布は国民を目覚めさせるための啓蒙令」だとの主張は極右ユーチューバーの間で広がっており、物議を醸しているが、キム弁護士は公の場でこの主張に言及したのだ。やはり尹大統領の代理人を務めるチョ・デヒョン弁護士も、先月23日の第4回弁論で「国民は非常戒厳を啓蒙令だと理解している」と述べている。
キム弁護士は、反国家勢力を阻むために戒厳令を実行したという尹大統領の主張を繰り返した。同氏は「体制転覆を狙う反国家勢力がうごめいている」として、「約4カ月前に判決が下された民主労総スパイ事件で、韓国社会のあらゆる対立がスパイの指令によって起きていたということが確認できた」と述べた。続いてキム弁護士は「代表的なのが福島原発汚染水怪談だ。『朝鮮半島と周辺国のテロ行為、全人類に対する大虐殺蛮行記事を集中掲載せよ』という指令を受け、民主党は『人類に対する核テロの試みを直ちに中止せよ』というプラカードを作った。スパイの指令と似たような単語」だと述べた。
またキム弁護士は「今回の戒厳を内乱罪で告発したのは民主労総の委員長だ。民主党のイ・ジェミョン代表は今月21日に民主労総を訪ね、弾劾事態で最も大きな役割を果たしたと感謝した」とし、「尹大統領は民主党の一党独裁ファッショ行為の現状を知らしめるために、国民に訴える戒厳を宣布した」と主張した。