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若い海兵隊員の死を侮辱した捜査外圧事態…その頂点には尹大統領

登録:2025-01-10 08:01 修正:2025-01-10 10:19
尹錫悦大統領/聯合ニュース

 9日に軍事裁判所がパク・チョンフン大佐(元海兵隊捜査団長)に無罪を宣告したことで、パク大佐に「抗命軍人」のレッテルを貼った「海兵隊員C上等兵捜査外圧疑惑」の捜査に関心が集まっている。捜査外圧の頂点には尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領がいる。

 パク大佐は、2023年7月19日の豪雨被害の行方不明者を捜索中に殉職した海兵隊のC上等兵の事故の調査を担当していた。海兵隊捜査団長としてパク大佐は、イム・ソングン海兵隊第1師団長(当時)を含む8人に業務上過失致死の容疑を適用し、捜査結果を民間警察に移牒することをイ・ジョンソプ国防部長官に報告した。イ長官は7月30日にこのような内容の海兵隊捜査団の捜査結果報告書に署名までしておきながら、翌日の7月31日にはキム・ゲファン海兵隊司令官(当時)に、警察への移牒を中止してメディアに対するブリーフィングを取り消すよう指示した。しかしパク大佐は8月2日、捜査結果を慶尚北道警察庁に移牒し、8月11日には事件縮小の外圧があったことを暴露した。軍検察はパク大佐に軍刑法の抗命容疑などを適用して拘束令状まで請求したが、軍事裁判所がこれを棄却したことで在宅起訴した。

 高位公職者犯罪捜査処(公捜処)は2023年8月から外圧疑惑事件を捜査してきた。軍事裁判所の事実照会と公捜処が確保した通話内訳から、事件移牒の保留が指示される過程で、尹錫悦大統領が個人の携帯電話でイ・ジョンソプ国防部長官、シン・ボムチョル次官、イム・ギフン国防秘書官と通話していたことが明らかになった。パク大佐に「容疑者を特定するな」と促したユ・ジェウン国防部法務管理官の同日のイ・シウォン大統領室公職綱紀秘書官との通話など、尹大統領と大統領室や国防部の関係者が細かくやりとりしていた通話の記録が復元された。海兵隊捜査団による捜査結果の移牒を阻むために緊急に動いていたことをうかがわせるものだ。

 この事態の原因としては、イム・ソングン海兵隊第1師団長を容疑者として特定した海兵隊捜査団の捜査結果に対し、尹大統領が激怒したことがあげられる。パク大佐側は、海兵隊捜査団が正常に警察に移牒した事件記録を国防部検察団が回収したのは「違法な奪取」に当たると主張している。尹大統領がイム師団長を容疑者から外そうとしたとすれば、職権乱用に当たる。国会は、外圧疑惑捜査のための特検法を本会議で3回も可決したが、尹大統領は3回とも拒否権を行使して差し戻した。

 捜査外圧疑惑は公捜処が捜査すべき最優先事件だったが、公捜処はイ元長官や大統領室の関係者などのカギを握る人物も調査できていない。公捜処の関係者は「パク大佐の判決文を受け取ってから、分析して今後の捜査の方向性を決める」と述べた。しかし現在、動かせる人材は12・3内乱の捜査にすべて投入されているため、早い時期に捜査を再開するのは難しそうだ。

ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1177215.html韓国語原文入力:2025-01-09 20:17
訳D.K

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