ハン・ドクス大統領権限代行は、弾劾訴追が迫られている中にあっても内乱常設特検の候補推薦を依頼せず、内乱一般特検に対する再議要求権(拒否権)の行使も示唆している。このような態度を取るのは、12・3内乱事態に深く関与していたからではないかという疑惑が膨らんでいる。
民主党指導部の関係者は25日、ハンギョレに「ハン代行は内乱に非常に深く介入していたようだ」として、「戒厳を事前に通知されていたなど、これまで明らかにされていないことさらにある可能性がある」と語った。チェ・サンモク副首相兼企画財政部長官とチョ・テヨル外交部長官は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領から戒厳時の省庁の行動指針を伝えられていたが、国政を総括するハン代行(首相)の方がより高度な指示を受けていたのではないか。そう疑っているのだ。
民主党は、警察庁国家捜査本部非常戒厳特別捜査団にハン代行を内乱罪で今月9日に告発した際に、「戒厳令は戒厳法上、首相を経て発動することになっている」と指摘している。これについてハン代行は、11日の国会での緊急懸案質問で、尹大統領の非常戒厳宣布計画を聞いたのは3日午後8時40分ごろで、午後9時ごろに国務会議を招集したと語っている。ハン首相は「国務委員と共に(戒厳を宣布しないように)尹大統領を説得しようとした」と語っているが、民主党はハン代行が戒厳の手続き的な穴を塞ぐために国務会議を招集しのではないかと疑っている。民主党のイ・ヨンウ法律委員長は、「その端的な例として、議事定足数を絶妙に満たす11人の国務委員を集めている」と述べた。ハン代行の釈明の趣旨どおりなら、できる限り多くの委員を集めて非常戒厳宣布を阻んでいなければならないが、定足数に達してからわずか5分で国務会議が終わっている、ということだ。民主党は、首相に国務会議の招集権限が生じるのは大統領が「事故」状態にある時のみだが、ハン代行はこの時、尹大統領に非常戒厳の手続き的正当性を与えるために、権限もないのに国務会議を招集したのではないか、と考えている。
また、4日未明に国会で非常戒厳解除要求決議(1時ごろ)があがってから、戒厳解除のための国務会議での採決(4時30分)までハン首相が時間を引き延ばしたことも、疑いがもたれる事柄だ。イ委員長は「非常戒厳宣布の国務会議を急きょおこなっておきながら、解除はあんなに長くかかるのか」とし、「(時間を引き延ばして)第二の戒厳の扉を開けておいたのではないかと言われるのはそのせいだ」と語った。