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米半導体補助金交渉が長引くサムスン電子、なぜ?

登録:2024-12-09 19:35 修正:2024-12-10 12:33
ソウル瑞草区のサムスン電子社屋=チョン・ヨンイル先任記者//ハンギョレ新聞社

 サムスン電子の米半導体補助金交渉が長引いている。先月に交渉を終え現地投資と生産に拍車をかけている台湾TSMCと対比される。競争力不振に直面したサムスンのファウンドリ(半導体受託生産)が、米国投資の規模をめぐって苦悩しているのではないかとの観測が出ている。

 9日、米商務省の資料を総合すると、今年上半期までに米政府と半導体補助金に関する予備覚書を交わした企業は11社。このうち、まだ最終契約を結ぶために交渉中の企業は、サムスン電子と米マイクロンテクノロジーだけだ。半導体補助金を廃止する可能性が議論される「トランプ2期目」のスタートが来年初めに迫っているめ、インテルとTSMCをはじめとする主要企業は交渉を先月急いで終えている。サムスン電子の補助金確定が通常水準より遅れているという話だ。

 業界では、サムスンが一種のジレンマに陥ったのではないかという観測が出ている。サムスン電子が予備覚書の段階で米政府に提示した内容は、大規模な現地投資と最先端半導体の現地生産を柱とする。米国政府の補助金を最大64億ドル受け取る見返りに、400億ドル以上を現地に投資し、2026年からテキサス州で2ナノメートル(nm)工程を稼動するということだ。2ナノメートルは、まだサムスン電子はもちろんTSMCも商用化していない最先端工程だ。

 サムスンの立場としては、米国投資にともなうリスクが決して小さくないということだ。先端半導体の主要顧客である米国のビッグテック業界については、TSMCが事実上独占している。低調な収率で受注に困難を経てきたサムスン電子とは異なり、TSMCは最近、アップル、AMD、エヌビディアなどをアリゾナ州の工場の顧客として確保し、独走体制を強化している状況だ。サムスンが米国に最先端の半導体生産基地を建設した場合、ややもすれば工場を遊ばせることになる可能性が高まったという話だ。

 逆に米国の投資を縮小した場合、それに伴う地政学的リスクも無視できない状況だ。「トランプ2期目」を控えて米国の半導体輸出制裁を巡る不確実性はいつにも増して高まったという評価が多い。来年、トランプ大統領が再び政権に就けば、米国現地での生産要求もさらに強くなる可能性が高い。

 そのため業界では、サムスンが投資の時点と内容を巡り「終盤の綱引き」をしている可能性が高いとみている。顧客確保が難しい最先端工程の代わりに、旧型やメモリー工程の比重を高めるのではないかという観測も出ている。サムスン電子ファウンドリー事業部のハン・ジンマン事業部長(社長)はこの日、職員に電子メールを送り「他の大型メーカーに比べて技術力が劣ることを認めなければならない」とし、「成熟(旧型)ノード(工程)の事業化拡大のためのエンジニアリング活動に努めてほしい。新たな顧客の確保に全力を傾けなければならない」と述べた。

イ・ジェヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1171987.html韓国語原文入力:2024-12-09 19:08
訳J.S

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