検察と警察が6日に同時に「尹錫悦(ユン・ソクヨル)内乱」事件の捜査に乗り出したことにより、捜査の範囲と対象に関心が集まっている。最重要被疑者である尹錫悦大統領とキム・ヨンヒョン前国防部長官はもちろん、ハン・ドクス首相ら戒厳前の国務会議に出席した国務委員、パク・アンス元戒厳司令官ら軍の関係者、国会封鎖を指示したチョ・ジホ警察庁長らが1次捜査の対象に数えられる。
非常戒厳を宣布し、関連する措置を指示した尹大統領は、内乱首魁(しゅかい)容疑がかけられている。尹大統領は、非常戒厳の謀議から宣布後の具体的な後続措置に至るまで、すべてを主導していたことが明らかになっている。尹大統領の冲岩高校の先輩で、非常戒厳を提案したことを明かしているキム・ヨンヒョン前国防部長官は、内乱重要任務従事者の容疑がかけられており、最高で死刑または無期懲役に処されうる。
尹大統領に会って戒厳宣布を議論し、国務会議の招集を提案したハン首相は、内乱共謀およびほう助の容疑がかけられている。国務会議前に尹大統領に会ったハン首相は、非常戒厳問題を議論した際、尹大統領を引き止めたという。しかし、非常戒厳を審議するための国務会議を開くことで、結果的に戒厳宣布の手続き的要件を整えることになった。ハン首相はまた、国務会議中は反対の意思をはっきりと表明しなかったという。
非常戒厳宣布の4時間半前、キム・ヨンヒョン国防部長官と電話で話していたことが明らかになっているイ・サンミン行政安全部長官も、内乱共謀が疑われている。当時、蔚山(ウルサン)での行事に出席していたイ長官は、キム長官と通話した後、行事の途中でソウルに戻っている。事前に戒厳宣布計画を知っていたと考えられる状況だ。大統領に戒厳宣布を建議できる国務委員は、行安部長官と国防部長官の2人だけだ。イ長官は国務会議でも戒厳反対の意思を明確にしなかった。イ長官は5日の国会行政安全委員会に出席し、「(戒厳宣布は)大統領の高度な統治行為」だとして、「大統領の権限は(国務委員は)止められない」と述べた。
パク・ソンジェ法務部長官は、非常戒厳宣布後に法務部幹部会議を招集していたことが明らかになっている。非常戒厳を履行するための後続対策を議論していたとすると、内乱共謀に当たる。パク長官は国務会議で反対意見を表明しなかったという。パク長官は6日の国会に出席し、「国務会議で様々な意見を出した」と述べつつも、「内乱罪判断については別の部分がありうる」と主張した。しかし国務会議で戒厳に反対せず、後続対策まで話し合っていたとすると、内乱共謀の容疑をかけられるのは避けられないとみられる。戒厳時、法務部のリュ・ヒョク監察官は「戒厳に関する会議なら出席できない」として拒否し、その後、辞表を提出している。内乱行為には同調できないとの趣旨からのものだった。国務委員のうち、反対意思をはっきりと表明したチェ・サンモク副首相、チョ・テヨル外交部長官、チョ・ギュホン保健福祉部長官を除く残りの国務委員も、少なくとも内乱ほう助容疑が適用されうる、というのが法曹界の多数意見だ。
国民の力のチュ・ギョンホ院内代表は、与党議員の国会戒厳解除決議への参加を妨害した疑いが持たれている。チュ院内代表はまた、ウ・ウォンシク国会議長に採決を先送りするよう要請する一方、与党議員に国会ではなく党本部に集まるようショートメッセージを送っており、結果的に採決に参加したのは親ハン・ドンフン系の18人の議員だけだった。共に民主党は6日、チュ院内代表を内乱の共犯者として告発した。
戒厳司令官に任命されたパク・アンス陸軍参謀総長ら、非常戒厳に加担した軍の関係者は、内乱重要任務従事者としてキム前国防長官とともに真っ先に取り調べを受けるとみられる。国防部は6日、イ・ジヌ首都防衛司令官、クァク・チョングン特殊戦司令官、ヨ・インヒョン国軍防諜司令官の3人の職務を停止した。国防部監察団は、この3人とパク総長ら10人あまりの出国禁止を要請した。非常戒厳当日、警察力を動員して国会を封鎖したチョ・ジホ警察庁長とソウル警察庁のキム・ボンシク庁長も、内乱共謀の疑いが持たれている。彼らは戒厳司令官らの要請に応じただけだと言い逃れしているが、最高裁は全斗煥(チョン・ドゥファン)新軍部の命令に従った下級幹部たちにも、内乱への加担が認められるとの判決を下している。