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「尹錫悦と沖岩派」の内乱罪、「全斗煥とハナ会」の最高裁判決ですでに示された

登録:2024-12-07 06:59 修正:2024-12-07 08:12
尹錫悦大統領(左)と全斗煥氏=大統領記者団・ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 12・3非常戒厳事態は「内乱事態」と新たに命名された。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が憲法と戒厳法を無視し、戒厳解除権限を持つウ・ウォンシク国会議長ら主要な政治家の逮捕を指示したという具体的な証言が6日に相次いで出てきたことを受け、これをきっかけに戒厳加担者たちが先を争って難破する政権から飛び降りている。

 「成功したクーデターは処罰できない」と主張した検察の末裔たちが布陣した龍山(ヨンサン)大統領室と与党「国民の力」の親尹錫悦派は、今回は「失敗した戒厳は処罰できない」と言わんばかりの主張を展開し、尹大統領の援護に乗り出した。大統領関連事件の捜査経験がある法曹人は「捜査機関の特性からして、内乱罪の捜査が本格化すれば1カ月以内に尹大統領の拘束令状が請求されるだろう」との見通しを示した。

 内乱罪は刑法(第87条)に規定されている。「大韓民国の領土の全部または一部で国家権力を排除し、または国憲紊乱(ぶんらん)の目的で暴動を起こした者を処罰」する。主導者には少なくとも無期懲役、無期禁固、または死刑が言い渡される。謀議に参加したか、重要任務を引き受けた場合でも死刑・無期懲役が、同調した人にも5年以下の懲役が宣告可能だ。在職中には起訴されない大統領でも、内乱罪はその例外になるほど重い犯罪だ。

 憲法学界では、戒厳が権力維持の手段として使われる場合、「権力者による内乱」とみなす。 内乱など国家非常事態を防ぐために戒厳を宣布できるが、逆に権力者が戒厳を手段にして国民と野党の弾圧、政権維持の目的で内乱を起こした場合がこれに当たる。

 「戒厳内乱」の判断基準はすでに全斗煥(チョン・ドゥファン)新軍部に対する司法的断罪の過程で確立した。1997年に最高裁判所は、1980年5月の非常戒厳全国拡大の過程における内乱罪を認め、内乱罪構成要件の「国憲紊乱の目的」、「暴動(暴行・脅迫)」などに対する具体的判例を残した。

 全斗煥新軍部勢力は当時、非常戒厳を全国に拡大するため、臨時国務会議場に武装した首都警備司令部の兵力を配置し、脅しをかけた。その後、国会議事堂を武装した33師団兵力で占拠・封鎖し、国会議員の出入りを阻んだ。予備検束とともに戒厳布告令を通じて政治活動の規制措置を取った。

 これは尹大統領が非常戒厳を宣言した3日夜から4日未明にかけての状況と類似している。戒厳司令部は、警察力を動員して国会の正門を封鎖し、戒厳解除要求という憲法上の国会機能を遂行しようとする国会議長と議員の出入りを統制した。統制前にかろうじて封鎖を突破した議員たちが戒厳解除を議決しようとすると、武装した最精鋭特殊戦司令部の兵力などを国会議事堂内外に投入した。一部は窓を割って乱入し、本会議場前まで進入した。さらに戒厳布告令を通じて国会の政治活動を全面禁止した。尹大統領はウ・ウォンシク国会議長、野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表、与党「国民の力」のハン・ドンフン代表などに対する逮捕を指示したという。

国会事務処が4日、尹錫悦大統領の非常戒厳宣言後、国会に投入された戒厳軍の姿が映った防犯カメラ(CCTV)映像を公開した。写真はその映像のキャプチャー=国会事務処提供//ハンギョレ新聞社

 国民の力は「野党への警告のための戒厳」だったという尹大統領の主張を復唱している。(尹大統領と沖岩高校同門の)「沖岩(チュンアム)派」であるイ・サンミン行政安全部長官は「国会の権限を抑えることを狙っていたなら、十分できたはずだ」と主張した。尹大統領とキム・ヨンヒョン国防部長官の違憲・違法指示に軍が消極的に対応した結果について、まるで事前に意図された失敗であるかのように歪曲したのだ。

 (全斗煥裁判当時)最高裁では、新軍部戒厳軍による国会封鎖に対し、「永久に廃止する場合だけでなく、かなりの期間にわたってまともに機能できなくすること」についても「国憲紊乱の目的」が認められると判断された。12・3戒厳のように国会を一時的に封鎖・統制することだけでも「憲法機関の不能化」という内乱罪の国憲紊乱に当たるということだ。

 最高裁はまた、内乱罪の成立は国憲紊乱の目的が達成されるかどうかとは無関係だという判断を示した。「一つの地方の平穏を損なうほどの暴行・脅迫行為があったなら、それ自体で十分」ということだ。12・3戒厳で主要政治家の逮捕と国会封鎖に失敗し、戒厳解除議決を防げなかったとしても、「その行為と経緯、結果を総合して判断」すれば内乱罪が成立しうる。

 戒厳当時、キム・ヨンヒョン国防長官とイ・サンミン行政安全部長官、国務会議出席者などに対する内乱罪の適用も可能だ。最高裁は新軍部の時局収拾方案樹立(尹大統領の「反国家勢力の清算」)→新軍部ハナ会の順次謀議(沖岩派など軍高官との公館会議)→非常戒厳全国拡大(12・3戒厳宣布)などの過程で、「部分的に参加したとしても全体の内乱罪の責任は免れない」とした。

 12・3戒厳布告令は国会議員と市民に対して「令状なしに逮捕・拘禁・処断する」という「脅迫」を含んでいる。最高裁は「国憲紊乱を目的とした非常戒厳の全国拡大は必然的に国民の基本権を制約する脅威」だとして、内乱罪の暴動(脅迫)に当たるという判断を示した。

尹錫悦大統領が3日夜に非常戒厳を宣布した中、4日未明にソウル汝矣島の国会本庁に軍人たちが進入している=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社
キム・ナムイル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1171485.html韓国語原文入力:2024-12-07 03:08
訳H.J

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