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韓国軍情報機関「北朝鮮、ICBM発射台配備…米大統領選前後に発射する可能性も」

登録:2024-10-31 06:28 修正:2024-10-31 07:57
ロシアが29日(現地時間)、北西部のアルハンゲリスク州プレセツク発射基地で、極東カムチャツカ半島側に向かってヤルス大陸間弾道ミサイルの発射実験を行った=プレセツク/EPA・聯合ニュース

 北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射台を配置し、いつでもミサイルを発射できるようにしており、7回目の核実験の準備も整えたという韓国軍情報機関の分析が30日に報告された。11月5日に行われる米大統領選挙を前後して、実際にミサイル発射と核実験を進める可能性があるというこれまでの予想を裏付ける内容だ。ロシアに派兵された北朝鮮軍の一部がすでに戦線に投入された「蓋然性」についても言及された。北朝鮮軍の戦闘開始など現地の戦況によって、韓国政府もウクライナへの兵器供与など対応レベルを上げる可能性が高く、朝鮮半島の緊張がさらに高まる見通しだ。

 国防情報本部は同日、国会で非公開で開かれた情報委員会国政監査で、「北朝鮮がICBM発射台を準備したものとみられる。特定の地域に移動式ミサイル発射台(TEL)を配置し、ミサイルも用意した」とし、「ただし、ミサイルが据置台に装着された状態ではない」と報告した。情報委与野党幹事のイ・ソングォン議員(国民の力)とパク・ソンウォン議員(共に民主党)が伝えた。国防情報本部は、米大統領選挙を前後して、大気圏への再突入技術を検証するため、ICBMの発射が行われる可能性があると見通した。さらに「北朝鮮は米国の大統領選挙前に核問題を浮上させようと試みるだろう」とし、北朝鮮が豊渓里(プンゲリ)3番坑道で7回目の核実験をする準備を整えたという分析も示した。ICBMの発射も核実験も、残るは金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の「決断」だけだと国防情報本部はみている。

10月18日(現地時間)、ウクライナ文化情報省部傘下の戦略疎通・情報セキュリティセンター(SPRAVDI)が、北朝鮮軍と推定される兵士らが並んでロシアの補給品を受け取っているとして公開した動画=ウクライナSPRAVDIのXアカウントよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 大統領室の高官も同日、ソウル龍山(ヨンサン)の大統領室で記者団に対し、「ICBMは加速化して実行でき、核実験は比較的準備時間が短いため、いつでも決行できる」と述べた。ただし、「今のところ、差し迫って進められている事案はない」と語った。北朝鮮が今すぐ「挑発」するよりは、対外的な戦略環境を見極めながら、それに伴う選択をする可能性があるという意味とみられる。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は同日午前、カナダのジャスティン・トルドー首相との電話会談で「北朝鮮軍がウクライナで実際の戦線に投入されるのが予想より早くなるかもしれない厳しい状況」だと述べた。国防情報本部は同日、ロシアに派兵された北朝鮮軍の一部が戦線に投入されたという米CNNの報道について、「派兵された北朝鮮軍が戦線に投入されているという正確な情報はまだない」としながらも、「北朝鮮軍のうち一部の先発隊が戦線に投入された可能性はあるとみられる」と情報委に報告した。

 政府は現在、「段階的措置の決定的基準は、北朝鮮軍が参加した戦闘の開始」(大統領室高官)だとし、北朝鮮軍の動きを見極めながら、ウクライナへの兵器供与など「次の段階」に進むかどうかを検討している。大統領室は現在、ウクライナに155ミリ砲弾を直接供与する案は検討しておらず、兵器供与をするならまずは防衛用兵器が支援されると説明した。共に民主党のキム・ビョンジュ議員と祖国革新党のキム・ジュンヒョン議員はこの日「国防部陸軍弾薬政策担当官などがNATO(北大西洋条約機構)本部に出張に出ている」とし、「政府が殺傷力のある兵器の供与を進めている」と主張した。これに対し大統領室は「NATOに出張中の情報協力団の実務級職員の中に弾薬関連業務を担当する関係官が含まれている」とし、「北朝鮮軍の弾薬情報と関連して出張団の理解を助けるために同行しており、弾薬支援は今回の代表団の任務に含まれてもいない」と否定した。

 米国大統領選挙の結果により戦場の状況が急変する可能性があるため、攻撃用であれ防衛用であれ兵器を供与するのは性急な判断だという批判の声があがっているが、大統領室は「段階的な対応措置は間違っていない」と一蹴した。大統領室高官は「米国の大統領選挙後に誰が次期米政府の首長に選出されても、ウクライナ戦争は明らかに大韓民国の安全保障において重大なシグナルを送っている段階に入っている」とし、「米国の意思も重要だが、韓国の名目と国益も同じく重要だ」と話した。

 一方、政府はロシアに派兵された北朝鮮軍の活動に対するモニタリングを積極的に検討している。大統領室高官は「我々には、ウクライナという友好国に(対する)北朝鮮の軍活動の戦況を調べ、分析し、モニタリングする義務が与えられている」とし、「戦況分析チーム」をウクライナに派遣する可能性を示唆した。また「モニタリングの内容は(軍事的問題だけでなく)北朝鮮軍の心理的動揺と離脱に関する問題までウクライナ政府とともに協議して処理する必要があるかを考慮する価値がある」とし、戦況分析チームが「対北朝鮮心理戦」の役割を果たす可能性も示唆した。同関係者は「北朝鮮の派兵対応と関連したウクライナへの特使派遣に関する論議を今週から始めることになるだろう」とも語った。

イ・スンジュン、ソン・ヒョンス、チャン・ナレ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1165108.html韓国語原文入力:2024-10-30 23:01
訳H.J

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