27日に自民党総裁に選出された石破茂氏が、10月1日に日本の102代目の首相に選出される。石破総裁は、韓国人には安保問題に専門的見識を持つ保守政治家として知られている。歴史問題についても「政治的ライバル」だった安倍晋三元首相とは異なり、何度も合理的な見解を明らかにしたことがある。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の「譲歩外交」を通じて改善された現在の韓日関係は、いつでも崩壊しうる「砂上の楼閣」のようなものだ。石破新首相には、韓日関係の持続可能な発展のために「最小限のコップ半分」を満たす謙虚な歴史認識を示してくれることを期待する。
今回の自民党総裁選挙は、7年8カ月間続いた「安倍1強」政治の弊害が積み重なって発生した自民党の政治資金問題で、岸田文雄首相が突如として不出馬を宣言した中で行われた。そのため、国内懸案の攻防が主で、韓日関係や歴史認識などは争点にならなかった。
それなりに韓国で関心を集めたのは、石破総裁の「アジア版北大西洋条約機構(NATO)構想」だった。政策集には、「法の支配に基づく国際規範を形成し、地域の多国間安全保障体制の構築を主導します(アジア版NATO)」という内容がある。この構想は、27日に発表された米国のハドソン研究所への同氏の寄稿に、より明確に示されている。石破氏は「現在のウクライナは明日のアジア」だとし、中国を抑制するために、加盟国が侵略されれば全加盟国が力を合わせて対応する集団安全保障体制がアジアにも必要だと主張する。またこの寄稿には、日米同盟を双務的なものにするための日米安保条約の改正、それにともなう自衛隊のグアムへの配置、アジア版NATOレベルの核共有と核の持ち込み(戦術核の配備)などの検討を求める、などの急進的な内容が記されている。
この構想は、韓国でも物議を醸すことになる。歴史問題でもはや謝罪と反省を語らなくなった日本の、中国を排除して韓国と事実上の軍事同盟(集団安保体制)を結ぼうという意見に同意する韓国人は、ほとんどいないだろう。この問題が本格化すれば、韓日の摩擦は避けられない。
歴史問題に関しては、石破総裁が今回の選挙を前に発表した著書『保守政治家 わが政策、わが天命』には、「合併がどれほど相手国の国民の自尊心とアイデンティティーを傷つけたかについて理解することなしに、韓日の真の信頼関係を構築することはできない」と記している。持続可能な韓日関係のための第一歩は、石破総裁自身の言う通り、日本の謙虚な歴史認識だ。石破首相の前向きな決断を期待する。