本文に移動

朝ロ、「反米」を共通項に「多方面における創造的パートナー関係」目指す

登録:2024-06-19 06:14 修正:2024-06-21 09:04
昨年9月、ロシアのアムール州ボストーチヌイ宇宙基地で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、北朝鮮の金正恩国務委員長に説明をしている/聯合ニュース

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の訪朝を機に、北朝鮮の官営紙「労働新聞」18日付の1面に掲載されたプーチン大統領の「寄稿文」と北朝鮮側の「歓迎社説」には、ロシア・ウクライナ戦争が影を落としている。プーチン大統領の24年ぶりの訪朝と、2023年9月13日にロシアのボストーチヌイ宇宙基地で行われた会談以来9か月ぶりの金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との再会が、朝ロ関係を超えて激変する国際秩序の地政学および地経学的布石の上にあることをうかがわせる。ロシア・ウクライナ戦争の行方が、朝ロ関係の将来に重大な影響を及ぼすことものとみられる。

 プーチン大統領の「寄稿文」では、「朝鮮民主主義人民共和国はウクライナで行われているロシアの特殊軍事作戦を固く支持」、「平壌(ピョンヤン)は昨日も、今日も我々(ロシア)の頼もしい同志であり、支持者」だと褒め称えた。北朝鮮側は「歓迎社説」で、「ウクライナに対するロシアの特殊軍事作戦」は「正義の聖戦」であり、「朝露人民は同じ戦闘の塹壕に立っている」と呼応した。

 朝ロ密着のもう一つの促進剤は「米国とその追従国ら」だ。プーチン大統領は「寄稿文」で、米国が「『ダブルスタンダード』に基づいた世界的な新植民主義独裁である、いわゆる『ルールに基づいた秩序』を世界に強要」しており、「自分たちが起こしたウクライナでの紛争をさらに激化させるため、あらゆることをしている」と非難した。さらに「米国の経済的圧迫、挑発、恐喝、軍事的脅威」に対抗した「朝鮮の友人たち」を「変わらず支持する」と誓った。韓国政府当局者は「プーチン大統領の寄稿文は米国に向けたメッセージが多く含まれているのが特徴であり、その点で異例だ」と語った。

 プーチン大統領の「寄稿文」と労働新聞の「社説」は共通の指向として、「多極化された(新たな)世界秩序」を提示した。

 プーチン大統領はその具体的な案として、「西側の統制を受けない貿易および相互決済体系を発展させること」、「一方的な非合法的制限措置に共同で反対すること」、「ユーラシアで平等で不可分離的な安全構造の建設」などを提案した。「米ドル体系」以外の「貿易・決済体系」と「ユーラシア安全構造」の建設は、米国に対抗するグローバルなアクターを標榜するプーチン大統領にとって中心となる議題だ。北朝鮮は国連や米国などの制裁で「ドル中心の金融体系」に接近できないうえ、対外貿易の95%以上を中国に依存している。朝ロはすでに2014年の経済共同委員会でルーブルを主要通貨とすることで合意しているが、このかん有名無実化していた。韓国統一部の当局者は「ロシアは基軸通貨として(ルーブルの)影響力のさらなる強化を図っている」と分析した。

 プーチン大統領は現在の朝ロ関係が「多方面におけるパートナー関係」であり、これからは「多方面における創造的パートナー関係」を目指すと明らかにした。これに先立ち、クレムリン(ロシア大統領府)のユーリ・ウシャコフ外交政策補佐官は17日(現地時間)、プーチン大統領が金委員長と「包括的戦略パートナー協定」を結ぶ可能性があると明らかにした。

 これは今回の朝ロ首脳会談で再設定する二国間関係が「有事の際の軍事的自動介入」義務を明示した同盟関係ではないことを示唆する。ロシアは韓国と「戦略的協力パートナー関係」を、中国と「新時代の全面的・戦略的協力パートナー関係」を結んでいる。政府関係者は「ロシア大統領府が明らかにした新たな朝ロ関係は、韓ロ関係と同一の水準とみられる」と語った。

 プーチン大統領は2000年7月19~20日に初めて訪朝し、金正日(キム・ジョンイル)総書記と「朝ロ共同宣言」(平壌宣言)を、翌年8月に金正日総書記がロシアを訪問した時に「モスクワ宣言」を発表し、1990年9月30日の韓ソ国交正常化以降こじれていた朝ロ関係を再整備した。プーチン大統領は「寄稿文」で、これらの宣言を2000年2月19日に結んだ「友好善隣協力条約」と結びつけ、未来の朝ロ関係の「基本的立場と方向を定めた」文書だと述べた。ロシアが南北双方と外交関係を結んできた21世紀の歴史の中で、朝ロ関係の「断絶的飛躍」ではなく、「連続的発展」を追求するという意味とみられる。

 また、プーチン大統領は北朝鮮と「人道主義的な協力の発展」、「高等教育機関間の科学的な活動の活性化」、「相互観光旅行、文化および教育、青年交流の発展」などを計画していると明らかにした。ロシア大統領府側は「様々な文書に署名することになるだろう」と述べたが、エネルギー部門の副首相、国防、外交、保健、天然資源部の長官、連邦宇宙公社と鉄道公社の社長が訪朝団に含まれたことから、今回の会談の主な協力議題をうかがうことができる。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1145417.html韓国語原文入力:2024-06-18 22:11
訳H.J

関連記事