尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は21日、「海兵隊C上等兵死亡事件の捜査外圧疑惑に関する特別検事法(C上等兵特検法)に再議要求権(拒否権)を行使した。C上等兵特検法は19日前の今月2日、野党の主導で国会で可決されている。
この日午前、ハン・ドクス首相が国務会議を開いて再議要求案を審議、議決した後、尹大統領は午後にこれを裁可して再議要求権を行使した。大統領室のチョン・ジンソク秘書室長はこの日午後、龍山(ヨンサン)の大統領室でのブリーフィングで、「大統領は国務会議を経た殉職海兵特検法案について、国会に再議を要求した」と語った。チョン室長は「今回の特検法案は憲法の精神に合致しない」と述べた。
C上等兵特検法は、昨年7月に慶尚北道の水害現場での捜索作業中に起きたC上等兵死亡事件の調査を担当していた海兵隊捜査団に対し、大統領室や国防部などが圧力をかけて捜査結果を歪曲し、捜査を隠ぺいしたのではないかを解明することを骨子としている。
前日、共に民主党、祖国革新党、改革新党、基本所得党、進歩党、正義党、新しい未来など、野党7党の指導部は、龍山の大統領室前での共同記者会見で、「大統領が10回目の拒否権行使を行えば、それは総選挙の民意を正面から拒否するとの宣言」だと批判している。
この日のC上等兵特検法に対する拒否権行使で、尹大統領の法案に対する拒否権行使は10回目となる。これまでに尹大統領は、糧穀管理法改正案▽看護法案▽労働組合および労働関係調整法改正案(黄色い封筒法案)▽放送法改正案▽放送文化振興会法改正案▽韓国教育放送公社法改正案▽キム・ゴンヒ女史株価操作疑惑特検法案・大庄洞(テジャンドン)50億クラブ疑惑特検法案▽10・29梨泰院(イテウォン)惨事被害者の権利保障と真相究明および再発防止のための特別法案に拒否権を行使している。
尹大統領が拒否権を行使したことで、特検法は国会で再表決に付される。民主党は28日の本会議で再表決することを予告している。
一方、尹大統領はこの日、高位公職者犯罪捜査処のオ・ドンウン処長候補の任命を裁可した。