海兵隊C上等兵殉職事件の捜査に外圧が加えられた疑惑の構成要素の一つである「事件記録回収」の過程に、大統領室の公職綱紀秘書官室が関与していたことが明らかになりつつある。この事件の核心を握る関係者である国防部のユ・ジェウン法務管理官が、昨年の国会でC上等兵事件の記録の回収過程について虚偽の陳述をおこなっていたことが確認され、そのためユ管理官は事件記録の回収に大統領室が関与していたことを隠そうとしたのではないかという疑いも生じている。
23日のハンギョレの取材の結果、海兵隊捜査団が慶尚北道警察庁にC上等兵事件の記録を引き渡した昨年8月2日の午後12時40分ごろ、国家捜査本部(国捜本)の関係者が同庁の幹部に国防部のユ・ジェウン法務管理官の電話番号を伝え、その際に、「国防部が事件記録の回収を望んでいる」という趣旨の話を伝えたことがわかった。
問題は、この連絡の前に、国捜本の関係者と大統領室の公職綱紀秘書官室行政官との間で通話があったことだ。すでに文化放送(MBC)は、事件記録の回収当日、大統領室のイ・シウォン公職綱紀秘書官とユ管理官が電話で話した内容を高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が確保したと報道したことがある。C上等兵事件の記録の回収過程にも大統領室が介入していたことが明らかになりつつあるということだ。
そもそもこの事件の疑惑の骨子は、海兵隊捜査団がC上等兵の殉職について、海兵隊のイム・ソングン第1師団長(当時)の責任を問おうとしていることに尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が激怒し、国防部がイム前師団長を容疑者から外すこと、事件の警察への移牒を保留することを指示した、というものだった。これに加えて、C上等兵事件の記録の回収過程にも公職綱紀秘書官室が関与していた疑いが強まったことで、大統領室の事件介入疑惑はさらに膨らんでいる。
C上等兵事件の記録回収について、ユ管理官が昨年の国会で事実と異なる発言をしていたことも明らかになった。同管理官は、昨年8月21日の国会法制司法委員会の全体会議で、「慶尚北道庁からC上等兵事件の記録を持ってくるよう指示したのは誰か」と共に民主党のイ・タンヒ議員に問われ、「国防部検察団が判断した(ことだ)」と述べていた。そして「だから(慶尚北道)警察庁から書類を持ってくるよう長官が指示したのか」と民主党のチェ・ガンウク議員に問われると、ユ管理官は「(イ・ジョンソプ前国防部長官が)捜査を指示した。それは抗命罪の証拠書類として持ってきたもの」だと答えていた。
しかし、これは実際の回収当時の状況とは異なる。慶尚北道庁に事件回収の意思を最初に明らかにした国防部の関係者が、まさにユ管理官だからだ。ユ管理官は昨年8月2日午後1時50分に慶尚北道庁の幹部に電話し、「事件記録を回収する」との意思を表明している。国防部検察団ではなく、自身が回収を主導していたのだ。
イ・ジョンソプ前国防部長官は最近、自分は事件記録の回収を指示したことはないと述べているため、ユ管理官が誰の指示で慶尚北道庁に電話して事件記録の回収を述べたのか、などが疑問として残ることになった。ユ管理官はこのことについての釈明要請に対し、「捜査に関する事項について答えたことはなく、今後も答えない予定」だと述べた。
一方、1月に海兵隊司令部などを家宅捜索して確保した資料と、3月にイ前長官が提出した携帯電話などのフォレンジックを終えた公捜処は、核心を握る被疑者を調査する段階に突入した。公捜処は捜査外圧疑惑事件について最近、ユ・ジェウン管理官に対して調査に出頭するよう通知したと明かしている。公捜処はまた、国防部検察団が警察から回収した捜査記録を再検討し、最終結果を出したパク・キョンフン元国防部調査本部長職務代理と出頭日程を調整中だ。公捜処の関係者はこの日、「チームレベルで最善を尽くして速度を上げている」と述べた。