「国がヒポクラテスになるべきなのに、なぜわれわれ民間の医療人に負担を転嫁するのですか。必須医療のトリクルダウン効果を期待して数を増やす? とんでもないあきれた話です」
25日午後、ソウル龍山区(ヨンサング)の大韓医師協会(医協)会館から大統領室まで行われた「医学部定員増員糾弾街頭行進」で、釜山市(プサンシ)医師会のキム・ボソク総務理事が声を張り上げた。同氏は「(例えば)洛東江(ナクトンガン)の水質が悪化して魚が全部死んだのに、漢江(ハンガン)で捕まえたフナを入れたら生きられるのか。医学部定員拡大より医師再分配政策が先」だと述べた。
この日の街頭行進の400人あまり(主催者推計)の参加者は、「根拠なき医学部定員増員を阻止して大韓民国の医療崩壊を防ごう」と書かれた横断幕と、「一方的な政策推進は国民の健康を脅かす」、「9・4医政合意を政府は履行せよ」などのプラカードを手に、2.7キロほどを行進した。「9・4医政合意」とは、医学部定員を含む主な医療政策については新型コロナウイルス禍が安定化してから医政協議体を設置して議論するとした、2020年の保健福祉部と医協との合意。
全国から集まった医協の会員たちは、「無計画な医学部増員は健康保険財政が破綻する」、「医学部定員の拙速拡大で医療システムが崩壊する」、「非科学的な需要調査を直ちに廃棄せよ」、「一方的な政策推進は国民の健康を脅かす」などのスローガンを叫びながら政府を糾弾した。
マイクを握った鐘路区(チョンノグ)医師会のパク・チョンファン会長は、19日に保健福祉部のパク・ミンス第2次官がブリーフィングで「医師(ウィサ)」を「ウィセ」と発音したことを批判しつつ、「意図的に交渉の相手に向かって妄言を吐くパク・ミンスは私たちの交渉の対象者ではない。パク・ミンスを絶対に許さない」と述べた。ソウル市医師会代議員会のイ・ユンス議長も、「産婦人科、小児科(の医師不足)の問題は少子化の問題だ。それは政府自らがうまく対処すべき問題ではないか。医学部の定員を増やすべきだという妄想を国民に宣伝している政府を見ると、怒りが抑えきれない」と叫んだ。
龍山(ヨンサン)の大統領室前に到着した医協の会員たちは、大統領室に向かって声をはり上げ、「医学部定員増員の白紙撤回」を要求した。壇上に立った医協非常対策委員会(非対委)のキム・テグ委員長は「4人が住んでいた家にいきなり政府が3人連れてきて一緒に暮らせと言っている。幼い息子や娘が腹を立てていれば、なぜ腹が立ったのか話を聞いてやってなだめるのが先だ。しかし政府は声を聞く前にムチを手にし、ムチがきかないからこん棒を手にし、それもきかないから今度は拘束収監すると脅している。大韓民国はこんな国だったのか」と述べた。
非対委は街頭行進前に医協会館で全国医師代表者拡大会議を開催し、医学部増員阻止の方策を議論した。非対委のチュ・スホ報道広報委員長はこの日、記者団に対し、「教授たちも医師と考えは同じだ。専攻医と学生たちに被害が及ばないように、自分たちのなすべきことはすべてやるとの立場」だと表明し、大学病院の教授も集団行動に参加する可能性があることを示唆した。