群馬県が朝鮮人強制動員犠牲者の追悼碑を粉々に破壊するかたちで撤去を終えたなか、自民党の右翼性向の議員が「本当に良かった」と投稿し、日本内の他の朝鮮人関連追悼碑も「撤去できればいい」と主張した。
自民党の杉田水脈議員(衆議院)は3日、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に群馬県の朝鮮人追悼碑撤去の記事を引用して「本当に良かったです」とし、「日本国内にある慰安婦や朝鮮半島出身労働者(強制動員)に関する碑や像もこれに続いてほしい」という考えを明らかにした。
さらに、日本が朝鮮半島に対して犯した過ちを記憶するために作った別の記念物を次の目標として提示した。杉田氏は京都府に作られた「日帝強制労働朝鮮人労働者像」の写真4枚をアップし、「この写真は、京都にある徴用工像。韓国のものより先に建てられました。私有地ということで撤去できない状態です。これも早く撤去できればいいのですが」と述べた。杉田氏が指摘した追悼像は、2016年に韓国労総と民主労総が京都の丹波マンガン鉱山に建てた「日帝強制労働朝鮮人労働者像」だ。当時、韓国の二大労総は強制動員労働者の人権蹂躙(じゅうりん)の実態を知らせ、被害者の名誉を回復するためにこの銅像を建てた。現在、ソウル、仁川、慶尚南道、済州などにも同じ労働者像が設置されている。
杉田氏のこのような投稿は、日本の歴史的過ちを否定しようとする自国内の右翼団体を扇動し、さらなる撤去運動を起こそうとする意図とみられる。実際、右翼団体は日本各地で朝鮮人追悼碑の撤去を要求する運動を進めている。群馬県の追悼碑撤去を成し遂げた右翼団体「そよ風」は、東京都の横網町公園にある「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」の撤去を求め、毎年集会を続けている。この追悼碑は1973年に建てられ、東京都の所有となっている。右翼団体の反発の影響などで、小池百合子都知事は2017年から朝鮮人犠牲者追悼式に追悼文を送っていない。
杉田氏の発言をめぐり、日本国内でも懸念の声が出ている。共同通信は「歴史修正主義やレイシズム(人種差別主義)をあおる言説で、強い批判を招きそうだ」と伝えた。SNSでも「差別発言を繰り返す杉田議員が群馬の森追悼碑撤去を機会とし、韓国人・朝鮮人労働者慰霊碑への攻撃を示唆(している)」との書き込みが上がってきている。
群馬県は朝鮮人追悼碑の撤去を3日午後にすべて終え、先月29日に閉鎖した「群馬の森」公園を再び開園した。県は、2004年にこの追悼碑を建て管理してきた日本の市民団体「『記憶 反省 そして友好の追悼碑』を守る会」が開いた追悼式で「強制連行」という発言が出て、右翼団体が反発するなど政治的議論になったとし、追悼碑の撤去を強行した。