文化財庁が国家無形文化財への指定に向けて闘牛を調査対象としたことが、動物団体の反発にあっている。文化財庁は、今回の調査は毎年実施しているものに過ぎず、まだ文化財指定を検討しているわけではないという立場だが、動物虐待だとの世論が強い闘牛の文化財指定を検討するのは正しくないと主張する声があがっている。
動物保護団体「動物自由連帯」は31日に発表した「闘牛の国家無形文化財指定に反対する」とする声明で、「文化財庁は動物虐待である闘牛についての国家無形文化財指定の検討を直ちに中止すべきだ」と述べた。そして「闘牛はすでに長きにわたって動物虐待だとの意見が提起されてきており、それに共感する市民も多い」と語った。昨年に緑色党と全羅北道緑色党が発表した世論調査によると、市民の60.9%が闘牛大会への予算支援に反対している。
現行の動物保護法は賭博、宣伝、娯楽、遊興などを目的として動物に傷害を負わせる行為を動物虐待と規定している(第10条3項)。しかし闘牛は民俗競技と認め、例外としている。遊興を目的として牛を戦わせて傷害を負わせる闘牛は明白な動物虐待であり、動物保護法違反だ、というのが団体の主張だ。
団体は、税金の無駄遣いも深刻だと指摘する。動物自由連帯は「実際に闘牛の常設競技場を運営する清道(チョンド)公営事業公社は、毎年数十億ウォンの赤字を税金で穴埋めしている。闘牛の観覧客が減少し、毎年闘牛大会を開催する地域も減っている」と語った。実際に全羅北道井邑(チョンウプ)は動物虐待世論などを反映して、今年の闘牛大会に予算をつけていない。
文化財庁は1月26日、「2024年度国家無形遺産指定調査計画」で闘牛が新たに調査対象種目に選ばれたと発表した。文化財庁は毎年、全国17地方自治体の無形文化財委員会から申請されたリストにもとづき、調査をおこなっている。闘牛は慶尚南道が申請したもので、その他にもタカ狩り、蔚山スェブリソリ(製鉄民謡)、ハングル書道など8種が調査対象となっている。
国家無形文化財は歴史的、芸術的または学術的に価値の高い無形の文化を文化財に指定するもので、関連法令に則って調査団が設置され、無形文化財委員会による検討と審議を経て最終的に選定される。しかし調査が行われるとしても、文化財指定へとつながるわけではない。文化財庁無形文化財課のイ・ジェピル課長は、「自治体から調査対象として申請されれば、すべて検討することになっている。現在のところは関連調査リストを受け取った水準であり、審議や検討などはなされていない」と述べた。
動物自由連帯は「闘牛の歴史と伝統は牛を直に戦わせる行為によってでなくても保全できる。慶尚南道昌寧郡霊山面(チャンニョングン・ヨンサンミョン)で行われる『霊山牛頭当て』は、木を組んで作った牛を肩に担いでぶつけあう遊びで、国家無形文化財に指定されている」と述べた。そして「十分に別のやり方で伝統を維持できるわけで、動物虐待を伝統として美化するなどということがあってはならない」とした。
これまで地域の環境団体や動物団体は、闘牛を育てるとして草食動物である牛にヘビやドジョウを食べさせたり、訓練を名目にタイヤを引かせたり、山を走らせたりなどの行為も動物虐待だと指摘してきた。