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[社説]「記憶・反省・友好」を踏みにじる群馬県の強制動員追悼碑撤去

登録:2024-02-01 09:05 修正:2024-02-01 09:55
群馬県が強制撤去する前に「群馬の森」公園にあった強制労働朝鮮人犠牲者追悼碑=群馬県/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 2004年4月、日本の市民たちが群馬県にある「群馬の森」公園に「強制動員朝鮮人犠牲者追悼碑」を建てた。碑石の前面には「記憶 反省 そして友好」という文言を韓国語、日本語、英語で記し、裏面には「朝鮮人に対し、多大の損害と苦痛を与えた歴史の事実を深く記憶にとどめ、心から反省し、二度と過ちを繰り返さない決意を表明する」という文章を刻んだ。日本による植民地支配と、戦時下に軍需工場や鉱山などで働かされて亡くなった朝鮮人を哀悼して歴史の過ちを反省し、韓国と日本の友好を増進しようとする努力によるものだった。

 群馬県は29日、この碑石の強制撤去作業に着手した。2012年に追悼式である参加者が「強制連行」に言及したことを、右翼団体が「政治的行事」だとして問題にし、当局がこれを受け入れ、設置延長を許可しなかった。市民たちは、碑を守るために10年以上追悼式を行わないなどして努力したが、日本の裁判所は設置延長の不許可を合法と認定し、群馬県はこれを根拠に撤去命令を出し執行に着手した。

 背景には、2010年代初めの安倍政権期によりいっそう強まった右傾化の流れがある。歴史の教訓を省察し韓国と日本の未来を指向しようとする市民の結実を暴力的に壊している群馬県の今回の撤去が、日本の様々な地域に建てられた朝鮮人強制動員追悼碑に対する脅しと破壊の合図になることを懸念せざるをえない。

 ただし、日本社会で撤去反対が続いていることに希望がみえる。市民たちは追悼碑の前で抗議集会と夜通しの座り込みを行い、芸術家たちも撤去反対を要求する4300人あまりの署名を集め、群馬県に提出した。朝日新聞も30日の社説で「戦前の日本を美化する風潮が強まるなか(…)(群馬県が)歴史改ざんに手を貸すことにもなる。きわめて危うい事態だ」と指摘した。群馬県は今からでも、市民の良心の声に耳を傾け、恥ずべき危険な行為をやめることを望む。

 苦々しいのは韓国政府の態度だ。外交部は「両国間の友好関係を阻害しない方向で解決されることを期待する」という反応だけだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、強制動員に加害した日本企業に免罪符を与える「第三者弁済」で歴史問題を消し去り、徹底的な無関心で対応している。韓国と日本の真の友好と協力を妨げる右傾化に、韓国政府がよりいっそう明確に声を出し要求しなければならない。韓国政府は、追悼碑を守るために取り組んでいる韓日両国の市民に対して恥ずかしくないのか。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1126558.html韓国語原文入力:2024-01-30 18:32
訳M.S

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