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韓国警察、ハン・ドンフン前法相の娘の「虚偽スペック」疑惑すべて送検せず

登録:2024-01-16 23:36 修正:2024-01-17 11:03
「国民の力」のハン・ドンフン非常対策委員長/聯合ニュース

 与党「国民の力」のハン・ドンフン非常対策委員長(前法相)の娘の「虚偽スペック(経歴)」に関する様々な疑惑を捜査してきた警察は、告発の受理から1年8カ月を経て、すべての疑惑について送検しないことを決めた。

 特に業務妨害の疑いにかかわる論文やエッセイなどの代筆疑惑については、警察はこれらを審査した機関が審査規定を送ってこなかったとの理由で、妨害された業務(まともな審査)はなかったとの結論を下した。露骨な手加減捜査だとの批判の声があがっている。

 ソウル警察庁反腐敗・公共犯罪捜査隊は、業務妨害などで告発されていたハン委員長夫婦と娘のAさんについて、先月28日に送検しないことを決めた。民生経済研究所や改革国民運動本部などの市民団体は2022年5月8日に、ハン委員長の娘の論文代筆疑惑などの捜査を求める告発状を警察に提出しているが、それから1年8カ月を経ての決定だ。ハンギョレは2022年5月、ハン委員長の娘の論文代筆などの「虚偽スペック」疑惑を連続報道している。

 市民団体は、ハン委員長夫妻と娘が共謀し、論文代筆▽海外ウェブサイトのエッセイ盗用▽奉仕活動時間を「2万時間」に水増しして奉仕賞などを受賞▽専門開発者が作成したアプリを自分で作成したかのように装って提出、などを実行し、公務執行妨害および業務妨害の疑いがあると主張していた。警察はこれらすべての容疑について嫌疑なし、あるいは却下処分を下した。

 決定理由書によると、警察は海外諸機関の「未回答」を送検しないことの主な根拠としている。代筆疑惑の持たれている論文が提出されたジャーナル(ABC Research Alert)に「具体的な審査規定を送ってほしい」と要請したものの返答がなかったということを根拠に、「返答なし=審査規定不在」と結論を下したのだ。警察は「虚偽の資料が受け入れられた原因が審査機関の『不十分な審査』にあるのなら、業務妨害罪を認めることはできないとする最高裁判例に則り、業務妨害容疑を認めることはできない」と述べた。

 エッセイ盗用疑惑の捜査も同じ論理に則っている。警察はエッセイ審査を担当するICISATから具体的な審査過程についての返答を得られなかったが、それを根拠に業務担当者による「十分な審査」が存在しなかったと判断した。

 専門の開発者の力を借りて作成したアプリを大会に提出したという疑惑も、主管団体が個人情報保護などを理由に審査資料などの一切の資料の提供を拒否するとともに、警察の質問にも答えなかったとし、同じように業務担当者の十分な審査があったことを立証できないと判断した。

 イ・ジェイル弁護士は16日、「返答が来なかったのなら捜査を続けることこそ正しいはずなのに、嫌疑なしで終結した。捜査を積極的に行わなかったと考えざるを得ない」と指摘した。警察の関係者は「業務妨害は業務を担当した担当者が被害者になるはずだが、そちらから詳しい説明がなかったため、そのように(嫌疑なしと)判断したもの」と語った。

 韓国スリーエム保育園の寄贈に関しては、警察は、寄付行為は自発的であり、ハン委員長夫妻が関与したと考えることはできないため、贈収賄容疑は適用できないと判断した。青少年国際科学大会への代筆論文提出疑惑は「具体的な根拠がない」として却下した。証拠隠滅、住民登録法違反、公務上秘密漏えいなどの、告発状に示されたその他の疑惑も、警察はすべて認めなかった。

 告発状を提出した民生経済研究所のアン・ジンゴル所長は「警察は1年8カ月間も時間をかけたのに、被疑者の呼び出しや強制捜索などもただの一度もなく、露骨な手加減処分をおこなった」と述べた。

クァク・チンサン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1124677.html韓国語原文入力:2024-01-16 17:28
訳D.K

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