［独自］「北朝鮮の刑務所脱出ゲーム」制作に使われた北朝鮮人権増進予算
統一部が北朝鮮による人権侵害の実状を知らしめるとして民間団体に交付した予算が「北朝鮮刑務所脱出ゲーム」や「北朝鮮人権演劇・オペラ」などの反共教育分野の事業に使われていたことが分かった。
国会外交統一委員会に所属する共に民主党のキム・サンヒ議員室が10日に今年の統一部予算を分析したところ、20億ウォン（約2億2100万円）の「北朝鮮人権増進活動支援事業」予算の多くが北朝鮮の人権状況を戯画化したり、北朝鮮政権の暴圧を露骨に描く反共事業に使われたりしていたことが明らかになった。「北朝鮮人権増進活動支援事業」は尹錫悦（ユン・ソクヨル）政権で初めて編成された予算で、公募によって20団体に補助金が支給された。
キム議員室は、ある北朝鮮人権団体は北朝鮮の人権増進の名目で受け取った1億300万ウォン（約1140万円）の補助金で「北朝鮮刑務所脱出ゲーム」を作ったと明らかにした。このゲームは、参加者が北朝鮮の刑務所を再現した移動式コンテナから60分以内に脱出すれば勝ち、というもの。別の北朝鮮人権団体は全国13地域の中・高等学校を回って北朝鮮の人権に関する演劇を上演し、交付された1億3000万ウォン（約1440万円）の補助金を使った。この演劇には、北朝鮮の住民が韓国ドラマを見て北朝鮮当局の検閲班員に殴打される場面がある。「北朝鮮人権増進活動支援事業」予算はこの他にも北朝鮮人権オペラ、北朝鮮人権博物館の企画展示などに使われた。
北朝鮮人権運動をしている特定の人物の属する団体に補助金が集中する事例も見られた。2018年に大韓愛国党のソウル市長候補として出馬したY氏は、「社団法人北韓人権」の事務総長と「北韓人権法通過のための会（NANK）」の代表を務めているが、統一部は両団体にそれぞれ1億300万ウォン、2600万ウォン（約288万円）の補助金を支給していた。尹大統領は6月に「利権カルテル、腐敗カルテルに対する補助金はすべて廃止する」と公言しているが、反共・右派団体に対する予算支援基準は厳格ではなかったわけだ。キム・サンヒ議員は「統一部は北朝鮮の人権増進という名目で国民に旬の過ぎた反共イデオロギー教育を行っている」とし、「国政監査で統一部が特定の人物の属する団体に補助金を集中的に与えたかどうかを綿密に調べなければならない」と指摘した。
訳D.K