110日間の審議、全員会議15回開催、修正案11回提出。
2024年の最低賃金を決定する最低賃金委員会(最賃委)の審議が、2日間の会議を経て19日に終わるまでに残した記録だ。イ・ジョンシク雇用労働部長官が最低賃金法に則って3月31日に審議を要請してから110日かかっての決定だ。
労働者側と使用者側は最初から最後まで張り詰めた綱引きを繰り広げた。18日に14回の会議が始まってから、労働界は8度目の修正案として1万580ウォン(10%引き上げ案)を、経営界は9805ウォン(1.9%引き上げ案)を提示した。両者の差が簡単に縮まらない中、労働者委員たちと使用者委員たちはこれ以上の修正案提示は意味がないと判断し、公益委員に仲裁を要請した。
問題は、過去2番目に低い引き上げ率の基礎となった公益委員の審議促進区間の水準だった。公益委員は午後10時ごろ、引き上げ率2.1%~5.5%を提示した。労働者委員たちは2022年(2.7%~7.6%)、2021年(3.6%~6.7%)、2020年(0.349%~6.1%)の審議と比べても狭く、かつ低すぎると不満を示した。労働者側は調整案を改めて示すよう要求したが、拒否された。
10回目の修正案提示後、公益委員たちは1万ウォンを労働者側のマジノ線とみて、1万ウォンと使用者側委員が示した9840ウォンの中間値である「9920ウォン」を仲裁案として提示した。韓国労総の推薦した4人の労働者委員は同意したものの、民主労総推薦の4人の委員は拒否した。公益委員たちが午前4時ごろに仲裁案を採決しようとすると、民主労総側は「労働界は合意していない」として強く反発した。これについて最賃委は「労使が合意可能な水準にまで格差が縮まったという判断の下、運営委員会を開催し、調整案として(9920ウォンを)提示したが、民主労総推薦の労働者委員(4人)の反対で合意に至らなかった」と説明した。その後、民主労総は公益委員仲裁案の9920ウォンより60ウォン低い9860ウォン(約1086円)に決定されたことについて「数値上の損害は今後の二大労総の決意と闘争の結果で相殺できる」と述べた。
公益委員の「9920ウォン仲裁案」が失敗に終わったことを受け、委員会は採決手続きに入った。残されたのは労働者委員が最後の修正案として示した「1万ウォン」と、使用者委員が示した「9860ウォン」だった。最賃委は当初、労働者・使用者・公益委員それぞれ9人(計27人)で構成されていたが、1人の労働者委員が抜けた状態で行われた投票では、使用者側の最終提示案に17人の委員が票を投じた。労働者委員案は8票、棄権は1票だった。
この日の決定後に発表した文章で韓国経営者総協会(経総)は「最初の案として(最低賃金)凍結を提示したが、これを最終的に貫徹させることができなかったことについては残念」だとしつつも、「使用者委員たちが最善を尽くした結果であり、韓国の最低賃金がまたしても高率引き上げされた場合にもたらされる各種の影響を最小化するための避けられない選択だった」との立場を示した。民主労総はこの日の声明で「最悪の最低賃金水準」だと評しつつ、「公正性と中立性を命とする最低賃金委員会の存在と価値は失われた」との立場を示した。韓国労総は声明を発表する代わりにリュ・ギソプ事務総長が採決後、「根本的に最低賃金委員会の趣旨と消え去った公正性、自律性、独立性について深く考える」と語った。
最賃委はこの日、来年の最低賃金確定を告げる資料で「2024年に適用される最低賃金案の影響を受ける労働者は65万~334万7千人、影響率は3.9%~15.4%と推定される」と述べた。