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日本のメディアも「IAEAの中立性に疑問…資金提供に『配慮』働いた可能性も」

登録:2023-07-10 06:12 修正:2023-07-10 12:44
ラファエル・グロッシ国際原子力機関(IAEA)事務局長は4日午後、東京の首相官邸を訪れ、岸田文雄首相に汚染水海洋放出の安全性などを検討した最終報告書を提出した= 東京/ロイター・聯合ニュース

 日本でも国際原子力機関(IAEA)が福島第一原発の汚染水放出の安全性を評価できる中立的な機構なのかに疑問を呈する声があがっている。原発拡大を目指すIAEAの性格や日本の高い分担金などが理由として挙げられる。

 東京新聞は8日付で、「かねて日本政府は、IAEAに巨額の分担金や拠出金を支出してきた」とし、「IAEAのお墨付きは中立的な立場から出たと受け止めるべきか」という問題を提起した。同紙は「資金提供する組織に評価を求めれば『配慮』が働く恐れがある」と強調した。

 IAEAが汚染水の海洋放出の安全性を判断するのに適した組織ではないと主張する背景には、日本政府の高い分担金の支出がある。IAEAの正規予算分担率(2021年基準)によると、日本は8.32%で、米国(25.25%)、中国(11.15%)に次いで3番目に多い。日本政府は分担金とは別に「拠出金」も相当な額を出している。2021年には拠出金(約11億4000万円)を分担金38億6000万円の30%水準も支出した。

 東京新聞が今年度予算を計算したところ、拠出金は外務省だけでなく日本原子力規制委員会事務局である原子力規制庁(約2億9千万円)、文部科学省(約8千万円)、経済産業省(約4億4千万円)、環境省(約3千万円)も出していることが分かった。IAEAに派遣した職員の人件費などが拠出金に含まれるという。文部省の担当者は同紙に対し「(日本)政府全体としてもIAEAにたくさんお金を出しているので、職員をたくさん送り、存在感を確保するということ。日本の利益のためというよりは、国際貢献のためだ」と語った。

 IAEAは原発を持続的に拡大するため、汚染水の放出を安全だと判断せざるを得なかったという主張も出た。日本政府やIAEAは、一般の原発から出ないセシウム137やストロンチウム90など人体に致命的な他の放射性物質は基準値以下に除去されるとし、トリチウムのみを争点とした。トリチウムは韓国や米国、中国など原発爆発事故がなかった一般の原発からも出てくる放射性物質。東京新聞は「IAEAが福島でトリチウムの海洋放出に『待った』をかけると、世界の原発でトリチウムの放出に『待った』がかかる。原発を稼働させる国はトリチウムの処分に困ることになる。裏を返せば原発が稼働できなくなる」と強調した。

 日本政府と東京電力の利益だけに焦点を合わせた偏向性も問題として指摘された。福島大学の後藤忍教授は、同紙とのインタビューで「表向きは福島を尊重するという形だったが、地元の漁業者などの声はIAEAから軽視された。その点はもっと指摘されるべきだ」と批判した。

 IAEAが4月、汚染水の海洋放出が「国際安全基準に合致する」との結論を出したのに続き、日本原子力規制委員会は7日、最後の行政手続きである汚染水放流設備「使用前検査」と関連し、東京電力に終了証を出した。日本の漁業者たちと市民社会、周辺国の懸念にもかかわらず、来月海洋放出に踏み切ることが有力視されている。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1099332.html韓国語原文入力:2023-07-10 02:44
訳H.J

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