ウクライナがロシアに対する反撃攻勢の開始を発表して以来、初めて村3カ所を奪還する成果を上げたと発表した。
ウクライナ軍は11日、東部戦線であるドネツク地域のブラホダトネとネスクチネを奪還した後、勝利を祝う兵士たちの姿を撮った動画をソーシャルメディアに掲載した。ハンナ・マリャル国防次官はテレグラムで、マカリウカ村を奪還したとも発表した。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が前日の10日、カナダのジャスティン・トルドー首相との共同記者会見で、反撃攻勢が始まったと初めて認める発言をしたが、翌日初の成果発表が出た。
しかし、ウクライナ軍が収めたという戦果はまだそれほど大きくないという分析もある。ニューヨーク・タイムズ紙は、ウクライナが奪還したという村がロシア軍最前線の防御線の向こう側にあったかどうかは明らかではないと報じた。ウクライナ軍がロシア軍の最前線の防御線を突破したかどうかは定かではないという意味だ。同紙は、匿名の米国当局者の話として、ウクライナ軍が反撃攻勢を始めたと推定される先週、相当な損失を被ったと報道した。また、ロシアのブロガーらが掲載した写真と映像をもとに独自に検証した結果、ウクライナ軍が少なくともドイツ製レオパルト2戦車3台、米国のブラッドレー装甲車8台など西側が提供した兵器の相当数を失ったか、これらが破壊されたと報じた。
専門家たちの間では、ウクライナ軍は長い間予告してきた今回の大反撃を通じてロシアが2014年に強制併合したクリミア半島とウクライナ東部ドンバスを繋ぐ陸路回廊を断絶させ、クリミア半島を孤立させることを最大戦略的目標としているという分析が多い。これがウクライナ軍大反撃の目的なら、アゾフ海まで進撃しなければならないが、その実現の可能性は高くない。
しかし、ウクライナがザポリージャ原発やその以南の中小都市を占領するだけでも大きな成果といえる。欧州最大の原発であるザポリージャ原発の奪還は象徴的な効果が大きく、ザポリージャ以南の都市を占領すればクリミア半島を中距離精密兵器で脅かすことができる。西側軍事当局はウクライナ軍の占領地奪還も重要だが、ロシア軍に打撃を与え、奪還地域を守ることが今回の反撃攻勢の成果を左右するとみている。ニューヨーク・タイムズ紙によると、西側は今回の反撃を、ウクライナ軍を北大西洋条約機構(NATO)の戦術で戦う現代式の軍にする計画の一環とみているという。西側の兵器と戦術で武装したウクライナ軍がロシア軍に打撃を与え、ロシア軍を十分に阻止することを示せば、今後ウクライナの安全保障およびロシアとの交渉に進む土台になりうるとみている。
同紙に報道によると、米国などNATO諸国は戦車、大砲、戦闘機、歩兵間の常時の意思疎通システムが作動する複雑な戦闘形態の統合兵器作戦を遂行できる3万人のウクライナ軍を訓練し、今回の反撃攻勢に投入した。ウクライナ軍が反撃攻勢で潜在力を示し、その後は西側の支援と安全保障が伴えば、ロシアも戦略を修正せざるを得ないと期待している。ただし、ウクライナの反撃攻勢が戦線を変えられず、重要都市も奪還できなければ、西側の雰囲気は懐疑的に変わるだろうと同紙は報じた。