「政府と警察が数百人を呼び出して取り調べたり、大統領が労組を『建暴』と罵倒したり…体系的な弾圧であり、非常に危険な状況だと思います」
建設労組に対する無理な捜査に抗議し、メーデーに焼身自殺を図って死亡した民主労総建設労組江原支部のヤン・フェドン支隊長(50)の葬列がソウルへと向かっていた4日午前、国際建設労働者を代表する国際建設林業労働組合連盟(BWI)のアンベット・ユソン書記長は、韓国政府の労働弾圧は「非常に危険だ」と声を強めた。ユソン書記長はこの日午前、ソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)のカフェでハンギョレのインタビューに応じ、「(韓国政府は)建設労働者の弾圧ではなく、寄与を認めるやり方へと政策を変更すべきだ」と語った。
BWIは建設、木材、山林産業に従事する130カ国あまりの351の労組、1200万人の労働者を代表する国際産別労連。スイスに本部を置き、国連人権理事会、国際労働機関(ILO)などの様々な国際機関に労働者の声を伝えている。
「『建暴』発言、国際基準では起こりえないこと」
「建設労組弾圧糾弾国際行動の日」記者会見への参加などのために先月30日に入国したユソン書記長は、入国翌日にヤン支隊長の焼身の知らせを聞いた。ユソン書記長は「最初にそれを聞いた時、とてもショックを受けたし、韓国の問題がどれほど深刻で緊急を要するものなのかが分かった」と話した。
同氏は韓国政府が恐喝、脅迫などの容疑で建設労組の幹部たちを捜査していることについて「労使関係に国が介入することは、民主主義社会では許されない権力乱用」だと強調した。
ユソン書記長は「韓国はILO条約の批准国だ。ILO87号条約と98号条約に則り、労働争議は労働部が管掌すべきで、警察は介入してはならない」とし、「(韓国政府のやり方は)英国の『ブラックリスト事件』やフィリピンの『赤タグ付け』のような、政府と使用者が結託した体系的な、定型化された弾圧」だと指摘した。
そして「米国や全世界のどの国でも、労組の(会社側に対する)雇用要求は起きている」とし、「大統領も先日米国に行って『アメリカン・パイ』を歌ったりしておきながら、なぜ米国でも権利として保障しているこれらのことは受け入れられないのか分からない」と語った。
同氏は続けて「なぜ労組は雇用を要求するのかではなく、なぜ使用者たちは労組を雇用しようとしないのかをまず問うべきだ」とし、「労組活動をしているという理由で特定の部類の人間を雇用しない『ブラックリスティング』こそ、人権基準に真っ向から反する差別行為」だと強調した。
労働「最悪の国」韓国選定を推進
大統領が自ら「建暴」(建設現場の暴力行為)などと罵倒していることに対しても憂慮を表明した。ユソン書記長は「大統領が公の場で『建暴』などと罵倒しているということは、それが直ちに政府の政策になるということ」、「大統領と政治家が公に労組に対する憎悪発言をすること自体が、国際的人権基準では起こりえないこと」と述べた。ユソン書記長は前日に国家人権委員会を訪問し、政府による「建暴」などの憎悪発言について人権委に意見表明を要請している。
ユソン書記長は、建設産業の構造的問題を変えなければならないと強調した。「建設労働者は不安定で定年が保障されておらず、職業の安定性がない。多段階の下請け構造がコスト節減の手段として使われており、安全の問題が無視されている」ということだ。
同氏は「国際社会にヤン支隊長の声が届くよう最善を尽くす」と述べた。BWIは昨年、建設労組への弾圧を理由としてILO結社の自由委員会に韓国政府を提訴している。ユソン書記長はジュネーブにあるILO本部に、ヤン支隊長に関する事項を追加証拠として提出することを決めた。6月のILO総会で審議される「労働に関して最悪の国」の事例に韓国を含めることを目指していくことも表明した。
ユソン書記長はインタビューを終え、2カ月にわたり収監されている建設労組幹部の面会に向かった。同氏は「(収監されている幹部に)多くの人が共にあるということを伝えてくる」と語った。ユソン書記長は4日、ソウル大学病院でのヤン支隊長の葬儀への参列を最後に出国する。