韓国の原子力関連の専門家たちが、福島原発汚染水の放出計画に関する国際原子力機関(IAEA)の検証に疑問を呈した。
原子力分野の実務専門家団体「原子力安全と未来」と科学者団体「核とエネルギーの安全と環境を懸念する科学者の会」は21日、ソウル通仁洞(トンインドン)のエネルギー転換フォーラム会議室で共同記者会見を開き、「IAEAが福島原発汚染水の海洋放出計画に対してすでに国際基準に合致しているとの結論を下しているのではないか懸念される」との立場を明らかにした。
韓国政府は福島原発汚染水の放出計画について、「科学的かつ客観的に安全で、国際基準に合致しなければならない」と強調し、IAEAの検証結果を主な判断の根拠とするという立場を示してきた。こうした中、IAEAは6日、福島原発汚染水の放出計画が「十分現実的」という趣旨の中間報告書を発表した。まもなく完成する最終報告書で、海洋放出を後押しする結論を下すことを示唆したのだ。
原子力専門家と科学者団体は同日発表した立場表明文で、「IAEAの報告書には、2011年の事故当時と2013年の多核種除去設備(ALPS)作動前後に相当な放射能が海に流入し発生した海洋汚染の深刻性と、生態系への長期的な影響に対する詳しい調査結果が存在しないか、あるいは公開されていない」と指摘した。また「事故以前から排出した総量と海底における局部的な濃縮、生物学的濃縮を考慮して深層分析しなければならない」と主張した。
特に「福島原発には再処理核燃料(MOX)が使われ、微量でも致命的な影響を及ぼす核種が多いにもかかわらず、1000個以上あるタンクの核種の分布調査もまともに行われていない」と指摘し、「海洋放出より環境被害を最小化する方法を模索すべきだ」と要求した。