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[コラム]時期と場所をわきまえなかった韓米日合同演習

登録:2023-04-10 06:41 修正:2023-04-18 07:08
韓米日が3月4日、済州南方の公海上(東シナ海)で、対潜水艦訓練などを実施した=海軍提供//ハンギョレ新聞社

 服装の基本はTPO(Time、Place、Occasion)だと言われている。時と場所、状況に適した服を選ばなければならないという意味だ。結婚式場や葬儀場に行く時と運動する時に着る服は違わなければならない。

 服装だけでなく軍事訓練でもTPOが重要だ。特に、外国と共にする合同訓練(演習)は、いつどこで行うのかについて細心の注意を払うべきだ。訓練形式も重要な外交・安保メッセージであるからだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は「北朝鮮の核による脅威の克服」を強調して発足して以来、朝鮮半島付近で4回にわたって韓米日共同海上訓練を行った。ところが最近、このような訓練が的外れな時期と場所で行われている。

 韓米日は2月22日、独島(トクト)付近の東海(トンヘ)で、ミサイル防衛訓練を行った。2月22日は、独島を日本の領土だと主張し島根県が定めた「竹島の日」だ。訓練翌日の2月23日、国会国防委員会で野党「共に民主党」のキム・ビョンジュ議員は、イ・ジョンソプ国防長官に「なぜ『竹島の日』に独島で韓米日共同訓練を行ったのか」と質疑した。イ長官は「その前日(の実施)を計画していたが、準備が不十分だったため、翌日に延期され、偶然そうなった」と答えた。竹島の日に、独島周辺で韓米日共同訓練を偶然行うとは、無知故の怖いもの知らずとしか言いようがない。

 韓米日は今月3日と4日に米軍の空母「ニミッツ」が参加した対潜水艦訓練を行った。 韓国・米国・日本はそれぞれこの訓練についての報道資料を出したが、訓練場所と目的を説明した部分が違っていた。韓国国防部は訓練場所を「済州(チェジュ)南方の公海上」と明らかにした。米海軍は「EAST CHINA SEA(東シナ海)」、日本の海上自衛隊は「東シナ海」と報道資料に記した。済州南方の公海上と東シナ海は同じ場所だ。

 なぜ韓国だけが済州南方の公海上だと書いたのか。おそらく、今回の訓練が北朝鮮ではなく中国を狙ったものだという論議を避けたかったからだろう。韓米日が潜水艦を探知・破壊する対潜水艦訓練を行った場所は、済州から南へ320キロメートル離れた北緯30度36分以南の海だという。中国と日本が領有権を争う尖閣諸島(中国名・釣魚島)から約300海里(555キロメートル)離れたところだ。山東省青島を母港とする中国の北海艦隊と、浙江省寧波を母港とする東海艦隊は、太平洋に出るためにはここを通過しなければならない。

 九州から沖縄につながる日本南西地域は、中国の太平洋進出を阻止する戦略的要衝地だ。台湾海峡をめぐる軍事的緊張が高まっている中、日本は南西地域の防衛態勢を懸念している。日本の海上自衛隊報道資料は「日米同盟の抑止力・対処力の強化、また日米韓の安全保障協力の推進のため、米海軍及び韓国海軍と共同訓練を実施した」と説明した。米海軍報道資料は「このような訓練は相互運用性を確保し、自由で開かれたインド太平洋を支援する」と主張した。現実において「自由で開かれたインド太平洋」とは、中国に対するけん制と圧力を意味する。

 米国と日本の報道資料には「北朝鮮」という言葉が全く登場しない。これとは異なり、韓国が明らかにした今回の訓練の目標は「北朝鮮の高度化する潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)など、水中の脅威に対する韓米日の対応能力の向上」だ。この説明は、東海と西海を基地とする北朝鮮の潜水艦が東シナ海まで降りてくる可能性はないにもかかわらず、なぜ「北朝鮮の潜水艦対応」訓練をあえて東シナ海で行ったのかという疑問を抱かせる。

 対潜水艦訓練の場所と目的に対する韓米日の説明が異なるのは、それぞれ置かれた脅威と国家の利益に違いがあるからだ。韓米日は表向きでは安保協力を強調しているが、韓国にとっては北朝鮮の核脅威への共同対応が、米国と日本にとっては中国に対する共同圧力が主な関心事だ。利益を守るためには、個人や国に関わらず、自分がどこに立っているのかを明確に把握しなければならない。それを疎かにすると、他人のペースに振り回されて踊らされることになる。日常でTPOをわきまえない服装は他人の嘲笑を買う程度で終わるが、韓米日共同訓練の時期と場所を間違えれば、国際政治において盤上の駒に過ぎないことを「自ら認める」格好になるかもしれない。

//ハンギョレ新聞社
クォン・ヒョクチョル|統一外交チーム長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1087133.html韓国語原文入力:2023-04-10 02:37
訳H.J

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