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韓国の古刹・海印寺の住職、性的スキャンダルで寺から追放

登録:2023-01-19 04:38 修正:2023-01-19 08:19
海印寺からの山門黜送(追放)となった海印寺の住職・ヒョヌン僧侶=チョ・ヒョン宗教専門記者//ハンギョレ新聞社

 曹渓宗の代表的な古刹である慶尚南道陜川(ハプチョン)の海印寺の住職であるヒョヌン僧侶が、性的スキャンダルにからみ、山門黜送となった。山門黜送は、僧侶が殺人や淫行のような重大犯罪を犯した場合に寺から追放される伝統的な僧侶への処罰方法だ。しかし、山門黜送は教団による正式な懲戒ではないため、事態の真偽によって教団レベルでの調査と懲戒が行われるものとみられる。

 海印叢林・海印寺は16日に臨時会議を開き、ヒョヌン僧侶を山門黜送とする決議を行い、ヒョヌン僧侶に続く次期住職として、維那(禅院の主要な役職)のウォンタ僧侶を総務院に推薦することにした。

 ヒョヌン僧侶は、女性に関連したスキャンダルが広まると、任期を8カ月残して住職を辞任した。

 これに先立ち、「海印寺正常化のための非常対策委員会」(非常対策委員会)は6日、ソウル鍾路区(チョンノグ)にある韓国仏教歴史文化記念館1階のナムカフェで記者会見を開き、「ヒョヌン僧侶は最近、ある比丘尼僧侶(女性僧侶)と俗服を着用して如法(仏教の規則)では許されない場所に現れるなどの問題が広まると、辞職願を提出して身を隠した」とし、「教団は関連の事件をただちに調査せよ」と求めた。

 非常対策委員会はこれに加え、「2018年5月1日、文化放送(MBC)の番組『PD手帳』が当時曹渓宗の教育院長だったヒョヌン僧侶のセクハラと性風俗店への出入り疑惑を提起し、ヒョヌン僧侶はこれに対し『事実であれば僧侶を辞める』と主張する記者会見を開き、『MeToo』を行った女性を名誉毀損で告訴し、訴訟が進められているところだった」とし、問題を提起した。

 ヒョヌン僧侶は、1994年の曹渓宗の教団改革の際、改革勢力の「ブレーン」と呼ばれた主役の一人であり、海印寺の住職を経て2009年から曹渓宗の僧侶教育を総括する教育院長を10年間担当し、2019年8月からは再び海印寺の住職を務めた曹渓宗の主要人物であるだけに、今回の事態を受けての仏教界の衝撃は大きい。

 特に海印寺では、ポプチョン僧侶が宗正(曹渓宗の最高指導者)を務めていた頃(2002~2011年)に礼敬室長と海印寺の住職を歴任したソンガク僧侶側とヒョヌン僧侶側が対立を繰り広げ、今回の事態を契機に対立が激化していることが知られている。

 ヒョヌン僧侶反対派である非常対策委員会は、6日の記者会見で「社会的に(すでに)問題が提起されたヒョヌン僧侶を海印寺の住職に推薦した方丈のウォンガク僧侶が、ヒョヌン僧侶の事態に責任がないと言えるのか」として、責任を海印叢林の最高位の僧侶である方丈を務める僧侶にまで向けた。非常対策委員会はさらに「方丈の僧侶は一方的なウォンタ僧侶の住職への推薦を撤回し、大衆の公議を集め、住職を推薦せよ」と求めた。ヒョヌン僧侶を推薦した方丈の僧侶が推薦するウォンタ僧侶の住職継承に真っ向から反対したわけだ。

 すると、海印寺は16日、ヒョヌン僧侶を山門黜送としたうえで、非常対策委員会の共同代表であるソンゴン僧侶についても、あわせて山門黜送とすることを決議した。これに先立ち、海印寺は15日に山中総会(寺院に所属する全僧侶が出席する会議)を開き、今回の事態に関する立場表明文を出し、「一部の僧侶が私的な利益のために集団を作り、海印叢林と方丈の僧侶に対して荒っぽい非難を公開の場で行っている」として、非常対策委員会の即時解散を求めた。

 しかし、非常対策委員会はこれに応じず、16日に臨時会議が開かれた境内の観音殿への進入を試み、海印寺の宗務員らともみ合いを起こした。この日の物理的な衝突により、1人が倒れ病院に搬送された。

 今回の海印寺の問題について、参与仏教在家連帯の教団自浄センターは、16日に声明書を出し、「曹渓宗総務院長は、海印寺のヒョヌン住職をはじめとする事態の関連者に対し厳重措置せよ」と要求した。

 教団自浄センターは「2018年の『PD手帳』の報道に続く今回の性的スキャンダルは、韓国仏教をいっそう奈落に落としている」とし、「過去数十年間、教団の高位層の性的スキャンダルと『隠妻』(妻を隠しておくこと。曹渓宗では僧侶の結婚は禁じられている)問題について中途半端に対処し、ただの一度も明確な措置や処罰を取らなかった曹渓宗教団の悪業の報いが、今回の海印寺問題で爆発した」と批判した。

 教団自浄センターはさらに「海印寺の事態を収拾しなければならない海印寺の重鎮たちが、冬安居(陰暦10月16日から翌年1月15日まで禅の僧侶が外出せず屋内で修業すること)の期間中に海外のゴルフ場に入り浸っている」とし、「スキャンダルの当事者であるヒョヌン僧侶は代理人を立てて次期住職の選出に影響力を行使しようとし、元総務院長をはじめ、海印寺の元住職のソンガク僧侶らは、今回の事態を口実に海印寺を掌握しようとしているという噂があるが、これが事実であるならば、海印寺を越えて韓国仏教全体の悲劇となるに違いない」と警告した。

 教団自浄センターは「ヒョヌン僧侶の住職辞任によって終結することではないので、総務院護法部は、ヒョヌン住職の疑惑に対する早急かつ徹底した調査を通じて懲戒の手続きに着手し、冬安居期間中に海外ゴルフ場に常駐していた海印寺の重鎮たちにも規則に沿った措置を取るべき」だと求めた。

 曹渓宗の総務院関係者は、ヒョヌン僧侶のスキャンダルについて、「まだ噂が飛び交うだけで、具体的なことは分かっていないので、護法部で状況を把握中」だと明らかにした。一方、本紙はヒョヌン僧侶との通話を試みたが、つながらなかった。

チョ・ヒョン宗教専門記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/religious/1076049.html韓国語原文入力:2023-01-19 01:02
訳M.S

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