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北朝鮮軍の対話を傍受した特殊情報、「西海事件」の裁判で公開されるか

登録:2022-12-13 06:14 修正:2022-12-13 07:08
ソ・フン前国家安保室長が2日午前、西海公務員殺害事件と関連し、拘束前被疑者尋問(令状実質審査)を受けるため、ソウル瑞草区のソウル中央地方裁判所に向かっている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 「西海(ソヘ)公務員殺害事件」の重要関係者であるソ・フン前大統領府国家安保室長が、裁判にかけられる。検察とソ前室長側の激しい法的攻防が予想される中、「越北(北朝鮮に渡ること)」が言及されたというSI(Special Intelligence=特殊情報)が裁判の証拠として提出される可能性が取りざたされている。SIの公開で安保資産の侵害を懸念する声もある。

 9日、ソウル中央地検公共捜査1部(イ・ヒドン部長)がソ前室長を拘束起訴した時に提起した容疑は、海洋水産部公務員のイ・デジュン氏が2020年9月に北朝鮮軍によって殺害された事実を隠蔽したことだ。また、ソ前室長はイ氏が「自主越北」したという内容の虚偽の資料を関連部署に配布した疑いもかけられている。

 一方、ソ前室長は容疑を全面否定している。当時、SIで「越北」が2回言及されるなど、自主越北と判断せざるを得ず、急迫した状況で具体的な情況を判断できる他の資料もなかったというのがソ前室長側の主張だ。結果的にSIの内容と性格に対する判断によって、ソ前室長の容疑を認めるかどうかが変わる可能性があるということだ。

 同事件のSIは、国防部所属の国防情報本部隷下の777司令部が入手した一種の通信傍受資料だ。イ氏殺害直前に交わした北朝鮮軍の対話には、「(上部に)イ氏が越北したと報告せよ」などの対話内容が含まれていたという。

 裁判過程で北朝鮮軍の対話を傍受したSIの証拠能力をめぐって、議論が予想される。ある部長判事は「北朝鮮軍の対話であり『専門証拠』だが、情報を入手した軍関係者を証人として呼べば済む問題」だと指摘した。ただ、傍受した要員を裁判に呼ぶことも容易ではない。ある判事出身の弁護士は「国家安全保障などを理由に証人が出席を拒否した場合、裁判所がそれ以上(出席を)強制するのは難しいだろう」と話した。

 検察側がこれらの証拠の採択に反対する理由はなく、証拠能力にも特に問題はないだろうという意見もある。ある検察幹部は、「元々の供述者(北朝鮮軍)が証言できない特別な事情がなければ、証拠能力を認めることができる」とし、「『越北』という単語が2回登場する以外には他に根拠もない状態で、自主的に脱北したと断定したのが問題だという判断であるため、SIを前面に出しても容疑の立証に問題はないと思う」と語った。

 裁判過程でSIが公開されることが適切なのかについても疑問の声があがっている。韓国国防フォーラムのシン・ジョンウ事務局長は、「『越北』の判断の適正性を確かめるために、裁判所の判断を受ける手続き自体は必要かもしれない。ただし傍受の方法など、安全保障資産を侵害する恐れもあるため、非公開裁判で進めなければならない」と話した。

チョン・グァンジュン、カン・ジェグ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1071236.html 韓国語原文入: 2022-12-13 01:04
訳H.J

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